道を何気なく歩いていると、甘い良い香りが漂ってくることがあります。

金木犀(きんもくせい)の香りです。

あの甘い香りは一度嗅ぐと二度と忘れることはありません。

この特徴のある香りを放つ金木犀の花は、どのようなものなのでしょうか?

ここでは、そのことをいろいろな角度から紹介します。

金木犀の花の特徴とは!?

由来 金木犀 花言葉

金木犀は常緑性の樹木です。

十分大きく育った場合は、10メートルぐらいまで成長します。

原産地は中国南部です。

江戸時代に日本にやって来て、国内(北海道を除く)に挿し木で広まりました。

日本の自然環境に昔から存在したわけではありません。

金木犀は雄株と雌株に分かれていますが、日本には花が良く付く雄株のみ存在しています。

実を付ける雌株は原産地の中国に行かないと見ることはできません。

実はクコの実ほどの大きさで、熟すと紫色になるそうです。

そのため日本では実から金木犀の苗をつくり出すことはできません。

増やしたいときには挿し木で増やします。

挿し木は比較的簡単で、苗も丈夫で育てやすく、庭木として人気があります。鉢植えで育てることも可能です。

金木犀の花は5ミリほどの大きさの、かわいらしいオレンジ色です。

花びらは4枚あります。

金木犀の花の最も目立つ特徴は、その良い香りです。

金木犀は沈丁花(ジンチョウゲ)やクチナシとともに三香木とされています。

金木犀の香りはとても強く濃厚で、遠くからでも気付くことができます。

リラックス効果や鎮静効果もあるため人間にとってはとても甘く気持ちの良い香りですが、モンシロチョウなど一部の昆虫にとっては嫌なにおいらしく、嫌って寄り付きません。

原産地の中国では金木犀のことを丹桂あるいは桂花と呼びます。

そしてその甘い香りを利用するため、花を白ワインに漬けたり、お茶の葉に混ぜて花茶として飲んだり、蜜で煮て香味料に仕立てたりします。

丹桂の花を砂糖漬けにしたものをそのまま利用する料理もあるようです。

花が咲く時期はいつなの?

金木犀は秋の花です。

俳句では秋の季語として扱われます。

毎年9月から10月ごろ、地域ごとに同じ時期に、一斉に花が咲きます。

ひとつひとつの花の寿命は4日から5日ですが、沢山のつぼみが次々と咲くので10日から15日は花を楽しむことができます。

寿命が尽きた花は花びらが散ってしまいます。

木の上で枯れることはありません。

花が終わった木の下は、金色のじゅうたんのように見えます。

金木犀の花が開くのは1年に1回だけです。

しかし同じモクセイ科モクセイ属の仲間には、香りは弱いものの、環境さえ良ければ年に何回か花を咲かせるものもあります。

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金木犀の名前の漢字の由来は?

「金木犀」の「金」は花の色から、「犀」の字は、木の皮がとても硬くて厚く、サイの皮膚のようにゴツゴツしていることから名付けられました。

「犀」という漢字は動物の「サイ」を意味しています。

実際にその通りかどうかはわかりませんが、樹齢を重ねるごと樹皮がそれらしい感じになっていきます。

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たくさんある!金木犀の花言葉の意味や由来について

由来 金木犀 意味

金木犀の花言葉はたくさんあります。

  • 「謙虚」
  • 「気高い人」
  • 「初恋」
  • 「変わらぬ魅力」
  • 「陶酔」
  • 「真実」
  • 「真実の愛」
  • 「官能美」

というものが含まれます。

これらのことばには、確かに金木犀らしい、どこか共通するイメージがありますが、ひとつひとつの意味や由来はどこから来ているのでしょうか?

「謙虚」は、金木犀の花は香りが強く素晴らしいにもかかわらず、見た目はとても地味であることから名付けられました。

金木犀の花は、大きさは5ミリメートルぐらいと、とても小さく、香りが漂ってきて、はじめて「ああ、花が開いたな」と思うことの方が多いくらいです。

「気高い人」は、金木犀が一瞬のうちに花を咲かせて、一瞬で潔くぱっと散ってしまう様子が、高貴で潔い人を連想させることに、由来しています。

また中国では金木犀が咲くと幸福が訪れるといわれ、祝福や良い兆しの象徴とされており、身分の高い女性も金木犀を加工して用いていました。

そのことが「気高い人」へとつながったとも考えられています。

「初恋」は、金木犀の香りの甘さと、それが続く期間のはかなさに由来しています。

金木犀の甘く強烈な香りは、一度知ってしまうと決して忘れることはできません。

しっかりと記憶の隅に残ります。

また香りの続く期間はほんのわずかです。

それは誰の人生にも訪れる、初恋の忘れることのできない思い出を連想させます。

「変わらぬ魅力」は、金木犀が毎年同じ時期に開花して、良い香りをあたりに漂わせることに由来します。

たとえすべての人が忘れていたとしても、開花時期が来ればきちんと花を咲かせ、その香りで存在を主張するのです。

「陶酔」は、金木犀の甘く濃厚な香りに由来しています。

誰もが、あの甘く強い香りに酔いしれてしまうのではないでしょうか。

しかもその香りには、強い鎮静効果やリラックス効果があります。

 陶酔とは「気持ちよく酔っ払うこと」あるいは「何かに心を奪われてうっとりすること」を意味します。

金木犀の香りは人々を正にそのような気分にさせます。

「真実」は、金木犀の遠方までどこまでも広がっていく強い香りに由来しています。

あまりに香りが遠方にまで漂っていくので、どこかに金木犀の木があることと、今が花のシーズンであることを隠すことができません。

どうやっても隠し通すことのできない真実と同じです。

「真実の愛」も、強い金木犀の香りに由来しています。

金木犀の香りはかなり遠方にまで漂って行きます。

まるでどんな遠方までも届く、一途な愛、決してその存在を隠すことのできない真実の愛のようです。

最後の「官能美」は、まさしく金木犀の香りそのものです。

少しエロティックなことばかもしれませんが、甘く濃厚で、人々を誘惑するような印象さえ与える金木犀の強い香りに、ふさわしい花言葉はないでしょう。

まとめ

金木犀について、その樹木と花の性質、そして花言葉を紹介しました。

どこからともなく漂ってくる強烈な香りの正体が、わずか数日の命しか持たない、オレンジ色の小さな花であることは、すこし意外な感じがします。

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