「オセロ」という、有名なボードゲームがあります。

1970年代に誕生した歴史の浅いゲームですが、既に世界中で親しまれていて、毎年世界選手権も開かれています。

このオセロ、実は日本生まれなのを知っている人はどれくらいいるでしょうか?

ここではこのボードゲームを知ってもらう目的で、オセロに関するエピソードをいろいろ集めて、紹介することにします。

オセロってどんなゲーム!?

由来 オセロ 名前

オセロ (Othello) は、2人用のボードゲームです。

ルールはシンプルで、チェスと同じ8×8のマス目の盤面に白黒リバーシブルの石を碁のように打って遊ぶゲームです。

囲碁と違うところは、相手の石をはさむとひっくり返して自分の石の色に変え、最終的に石の数が多い方が勝ちというルールで、本格的な囲碁に比べて簡略化されています。

オセロはルールが単純であるにもかかわらず、複雑で奥深い展開が可能なゲームです。

「覚えるのに1分、極めるのは一生」というキャッチフレーズが販売に使われたことがあるほどです。

コンピューターも、オセロのすべての手を完全に解析することは、未だにできていません。

可能な打ち手が多すぎて、現在のコンピューターの能力を越えてしまうからだそうです。

オセロとリバーシの違いとは!?

オセロと似たボードゲームに「リバーシ(Reversi、源平碁)」というものがあります。

リバーシは1880年代にイギリスで考案されたゲームで、日本でも明治時代から知られていました。

オセロとリバーシは混同されることの多いゲームです。

オセロとリバーシには「オセロは囲碁から発展したゲームでリバーシはチェスから発展したゲーム」「したがって盤面に展開されるのはオセロの場合は石、リバーシの場合はコマ」という大きな違いがあります。

しかし、両者の遊び方にはほとんど違いがありません。

日本国内では一般に「石の色が白と黒のリバーシブル、盤面色が緑色、ルールが明確に決まっているオセロに対して、リバーシはもっと遊び方の自由度が高く、盤面の色やコマの色にも制限がない」と両者の違いを定義する場合が多いようです。

これにはもしかしたら、商標権の問題が関係しているのかもしれません。

「オセロ」や「Othello」という名称は商標登録されていているため特定の会社しか使うことができないため、他社が発売する「オセロ」風のボードゲームや、コンピューター上のゲームでは「リバーシ」という名前を代わりに使用することが多いのです。

そのため、「リバーシ」の本来のルールがわからなくなっている可能性はあります。

一方、海外では「リバーシの近代バージョンがオセロ」と紹介されています。

つまり互いにルーツは異なるにもかかわらず「リバーシ」と「オセロ」は今日で完全に同一のものとみなされているのです。

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オセロはどうやって作られたの!?日本人が開発したって本当?

オセロは日本人の会社員、長谷川五郎氏が作ったゲームです。

しかも考案した当時、彼はまだ中学生でした。

第二次世界大戦が終わって間がない1945年の夏に、長谷川少年が生み出した囲碁のルールを簡単にした「挟み碁」ゲームがオセロのもとになりました。

最初は碁石を使って行う遊びでしたが、やがて表と裏を黒と白に塗り分けた紙を使って遊ぶようになりました。

やがて高校生・大学生を経て社会人になったかつての長谷川少年は、いったんこのゲームに別れを告げることになりました。

しかし長谷川氏は、ふとしたきっかけで同僚の女子社員にこのゲームを紹介することになり、牛乳瓶のふたを白黒に塗り分けたものを奥様と準備して、遊び方を教え、結果は好評です。

これに力を得て、会社の営業の得意先(病院)にこのゲームを紹介したところ「入院患者のひまつぶしやリハビリに最適」などの高い評価を得ました。

(石に牛乳瓶のふたを流用した結果、今日でもオセロで使う石の公式規格は、牛乳びんのフタとほぼ同じ直径34.5ミリメートルと決まっています。)

さらに長谷川氏はゲームのルールを改良した後に、試作品をおもちゃメーカーに持ち込むと、これが認められて商品化が決定しました。

1973年4月に「オセロ」は正式な商品として販売が始まり、大ヒット商品となりました。

そのため引き続いて1977年にはアメリカでも販売が開始されることになります。

その後オセロは順調に販売実績を伸ばし続けました。

現在でもコンスタントに販売が続いています。

まさにロングセラー商品です。

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意外なオセロの名前の由来とは!?

由来 オセロ 意外

オセロという名前はシェイクスピアの同名の戯曲からとられました。

四大悲劇のひとつ「オセロ」です。

ムーア人(北西アフリカのイスラム教徒)の将軍のオセロが部下のイアーゴーの悪巧みにひっかかって、奥さんのデズデモーナの浮気を疑うようになってついに…という、有名な悲劇です。

このオセロをゲームの名前に使うことを提案したのは、開発者である長谷川五郎氏の父親で、で旧制水戸高等学校(水高)と茨城大学文理学部で教授をつとめた英文学者の長谷川四郎氏です。

四郎氏は、黒人のオセロと白人のデズデモーナを中心に、敵味方が目まぐるしく裏切り裏切られる、というシェイクスピアの戯曲のストーリーと、黒白の石がひっくり返りながら形勢がくるくる変わっていくゲームの展開の中に、常人ではわからない共通した「何か」を感じたのでしょう。

そのため、オセロというゲームは、石は必ず黒と白のリバーシブル、盤面はイギリスの緑の平原をイメージして必ず緑と、決められているとのことです。

(もっともシェイクスピアの「オセロ」はアフリカ人であってもアラブ系なので「黒人」という表現は正確ではないし、そもそも舞台になるのは水の都のヴェネチアとキプロス島の砦で、緑のイギリスの草原ではないのですが…)

まとめ

「オセロ」の開発の歴史を紹介すると共に、よく似た「リバーシ」というゲームとの関係や、シェイクスピアの有名な同名戯曲との「やっぱり」と思いたくなる関係など、いくつかの興味深いエピソードをまとめてみました。

「オセロ」には、その名前を取ったシェイクスピアの有名な戯曲と同じくらい、奥深いものがあるな、と感じます。

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