最近はあまり使用されることが少なくなったタンス。

昔は、それは見事なタンスが大流行し、お嫁さんの輿入れの際には、必需品だったといいます。

最近の住宅には、クローゼットがあったりと、収納スペースが確保されていることが多く、タンスの活躍の場が減ってしまいました。

それでもやはり、おばあちゃんおじいちゃんには馴染み深く、今でも大切に使用されているところもあるようです。

ところで、タンスの由来や、数え方はご存じでしょうか。

由来もさながら、ちょっと変わった独自の数え方があるといいます。

そんな、タンスにまつわる真相を、解き明かしていきたいと思います

タンスの名前の由来とは!?

由来 単位 タンス

あまり知られていませんが、タンスは漢字で書くと、「箪笥」と書きます。

古来から中国では、食べ物を入れる器のことを、「箪笥」と呼んでいました。

「箪」も「笥」も、単独でも「入れ物」の意味を持ち、「箪笥」の表記は、当て字で使われています。

日本ではかつては、「担子」と表記していたのだといいます。

その頃のタンスいえば、竹や木で作られた、持ち運べるタイプの箱だったようです。

江戸時代になると、引き出しのついたタンスが主流となって、このあたりから、中国と同じく「箪笥」と表記するようになり、日本にタンスの文化が広まり始めたのです。

なぜ、タンスが広まり始めたのかというと、日本における経済の成長と深い関わりがあるといいます。

それだけ物が出回り、片付けておく持ち物が増えた、という解釈です。

「担子」に比べ「箪笥」は、大きさや材料費または技術面からも、値段の張る品物です。

そのため、貧富の差などの影響で、全ての人々に広まるには、少し時間がかかりました。

本格的に流通したのは、江戸時代末期になってからのようです。

そして、種類も豊富になり、整理箪笥・衣装箪笥・洋服箪笥・茶箪笥・用箪笥・帳箪笥・百味箪笥・刀箪笥など、入れるものによって形を変えた様々なタンスが、次々に作られるようになったと伝えられています。

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タンスの正しい数え方とは!?

近頃多くのタンスを見かけないので、なかなか親しみにくいですが、タンスって数えてみたことはありますか?

ひとつふたつみっつ、または1個2個3個、と数えるのでしょうか。

実はタンスには、一風変わった数え方があります。

その数え方とは、「棹(さお)」という単位だといいます。

「棹」とは、洗濯物などを干すときの、長い棒のあの「竿(さお)」の同義語です。

機会はあまり多くありませんが、タンスを数える際には「1棹、2棹、3棹」と数えるようにしましょう。

では、「箪笥」と書くきっかけになったとされる、「引き出し」についてはどうでしょうか。

引き出しの場合にも、違った特別の単位があるのでしょうか。

タンスの引き出しの数え方とは!?

タンスの引き出しの数え方は、タンス本体の「棹」に比べて、耳にしたことがある、またはイメージしやすい単位かもしれません。

タンスの引き出しの正しい数え方は、「1段、2段、3段」と、「段」という単位を使用します。

普段階段を数えるときに使う、「段」です。

家具屋さんやホームセンターなどで、引き出しの数によって、「2段ダンス」「3段ダンス」と表記されているので、比較的私たちにも馴染みのある数え方です。

また、本棚などでも、何段あるのだろうと確認するときには、「段」を使ってはいませんか。

引き出しの数え方は、意外と皆さんの身近に感じでいただけたかと思います。

タンスの数え方の単位が「一棹」の由来とは?

タンスの数え方、引き出しの数え方をご紹介しましたが、引き出しについては何となくイメージが湧くのですが、タンスの「棹」については、まだまだ疑問が残ります。

どうして「棹」が、使用されるようになったのでしょうか。

その由来は、タンスが世に出た江戸時代にあります。

江戸時代前半のタンスは「長持(ながもち)」といって、大きな箱だったといいます。

江戸時代といえば、火事が起こることが多かったと記されているのを聞いたことがありませんか。

人々は火事になると、車長持といって、長持に車輪をつけたものを使用し、大切なものを持ち出していたそうです。

便利だったこの風潮は、みるみるうちに広まったといいます。

ところが、1657年1月18日、本郷丸山本妙寺から、「明暦の大火(めいれきのたいか)」と伝えられている、日本史上でも最大の火災が起こりました。

このとき人々は、車長持を使用したのですが、あまりの大火事で多くの人が一斉に使用したために、車長持の渋滞ができてしまいました。

その結果、逃げ遅れた人が増大してしまったのです。

そして、幕府から車長持の使用を、禁じられてしまったといいます。

しかし、火事の多いこの時代です。

人々は、なんとか簡単に持ち出せるようにと考えます。

そして、タンスに金具を取り付け、そこに「棹」を通して持ち運ぶ方法を生み出すのです。

次第にタンスには、持ち運びやすいようにと、金具をつけたものが作られ始めたといいます。

このような由来で、タンスの数え方だけは、「棹」という単位になったと伝えられています。

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今は色々な数え方が使われている!

由来 単位 数え方

歴史のある「棹」という単位の数え方は、時代の流れとともに、知られることがあまりなくなってきつつあります。

最近では、もっと簡単な単位を扱うようになってきているのも事実です。

最後に、その単位をご紹介したいと思います。

「本」

「棹」にまつわる由来にほど近い意味で使用されています。

1本2本と、本は長い棹を表していることから、このように数えます。

「台」

家具の中でも、大型のものを数える単位です。

電化製品などを数える際、よく聞くことのある単位ではないでしょうか。

「点」

主に店側の数え方です。

スーパーでレジを打つ時の「1点、2点」、まさにそのイメージのままの数え方がタンスにも使われています。

まとめ

タンスの由来について、ご理解いただけましたか。

近頃は少し活躍の場が減ったといえども、まだまだ日本家屋には欠かせない、歴史あるタンスにまつわるお話、お楽しみ頂けたでしょうか。

タンスならではの数え方があることや、数え方の由来となった、歴史に残る大惨事など、奥深い話が沢山詰まっていました。

現在では、もっとシンプルな数え方が定着してきているのですが、この雑学を知った以上は、一度本来の数え方を使ってみたいものです。

そして、誰かにこの逸話を自慢気に話してみてはいかがですか。

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