塩でもタレでも美味しく食べられる焼き鳥は、日本の鶏肉料理の代表です。
牛肉なども美味しいのですが、鶏肉の皮や油には独特の旨味があります。
そして古い時代から日本では鶏肉が庶民に親しまれてきました。
鶏肉は料理の仕方や食べる地方によって呼び方が異なり、特に「かしわ」の呼び方は全国各地で親しまれています。
そして焼鳥屋に行くと、どの部位の肉なのか全くわからない名前のものも少なくありません。
ここで今回は、鶏肉の「かしわ」「チューリップ」「砂肝」にターゲットを絞り、由来や意味などを紹介します。
目次
鶏肉の事をかしわと言う由来とは!?
鶏肉を「かしわ」と呼ぶのを聞いたことがあると思います。
鶏の炊き込みご飯を「かしわめし」と呼び、鶏のてんぷらを「かしわ天」と呼ぶ地域があります。
そして鶏肉も「鳥肉」と書く場合があります。
まずこの違いですが、「鳥肉」は一般的な鳥全ての肉を指し、「鶏肉」はニワトリの肉を指します。
つまり鴨肉やダチョウの肉は鳥肉で、名古屋コーチンやウコッケイの肉は鶏肉になります。
では「かしわ」は何を意味しているのでしょうか。
「かしわ」は漢字で書くと「黄鶏」と書きます。
これは褐色の羽が特徴の日本原産の鶏を示しています。
その語源は諸説あり
- 鶏の褐色の羽が、柏の葉っぱに似ている
- にわとりが羽ばたく姿と柏手を打つ姿が似ている
- 古代の宮中で食事の準備をした人を膳(かしわで)と呼んだ事から
などの説があります。
調べると他にも似たような説がありますが、①の羽と柏の葉っぱの色が似ていたと言うのが、有力視されています。
そのため「黄鶏(かしわ)」を今でも「柏」と表記している商品がまだあると言われています。
鶏肉とかしわって一緒なの!?
前に黄鶏をかしわと読み、これは褐色の羽が特徴の日本原産の鶏だと説明しました。
そして鶏肉はシャモ・ウコッケイ・ブロイラーなどニワトリ科の食肉を意味します。
したがって細かく言うと、鶏肉とかしわは一緒ではありません。
かしわって方言なの!?
鶏肉を「かしわ」と呼ぶのは一部の地域の人に限られているような感じがあり、鶏肉を意味する方言のようにも考えられます。
しかし歴史をたどってみるとかしわの言葉ははじめ19世紀中ごろに使われ始めたことがわかり、その頃は茶色のニワトリを「かしわ」と呼んでいました。
しかしその言葉が広がっていくと時間の経過とともに、鶏肉全体を「かしわ」と呼ぶように変化していきました。
今でも鶏肉を「かしわ」と呼ぶのは東海・近畿・四国の一部など、ごく限られた地域だけです。
そう考えると方言のように考えられますが、ここにも理由があります。
まず関東地方の人達はそのころ黄鶏ではなく、シャモが好まれていました。
そして東海地方の人々は、鶏肉と呼ぶ事を上品ではなく好みませんでした。
そこで鶏肉の言葉は選ばず、「かしわ」と言っていたそうです。
鶏のから揚げチューリップってどこの部位!?
鳥の唐揚げに「チューリップ」という部位があり、鶏肉の専門店などに並んでいます。
昔にチューリップの唐揚げが流行っていた事がありましたが、また最近売り出していると聞いています。
しかし食べたことが無い人には、「チューリップって鶏肉のどの部分?」と不思議に思うかもしれません。
鶏肉の「チューリップ」は、実は手羽元の部分です。
そして場合によっては、手羽先や手羽中の事もチューリップと呼ぶ事があります。
鶏肉の手羽は羽の付け根の部分の事で、特に胸肉に近い上腕部分が「手羽元」です。
チューリップと言うようになった由来とは?
手羽元のことを「チューリップ」と呼ぶようになった理由は、見た目が植物のチューリップに似ている事が由来です。
手羽元をそのまま唐揚げにしても、チューリップには似ていません。
しかし唐揚げを作る前に肉の一部を削いでくるりと上に巻く作業が必要です。
こうするとから揚げにした時にチューリップのようになり、骨にリボンなどを飾って華やかに盛り付けをして食べていました。
手羽元は栄養豊富でうま味もあり、価格もお手頃です。
しかしチューリップの形にする工程を面倒に感じる人が多いため、最近はあまり作っている人を見なくなりました。
鶏の砂肝ってどこの部位!?
焼鳥屋さんに行くと、鶏のあらゆる部位の名前がメニューにのっています。
名前を聞いてもどの部位なのかよくわかりませんが、とりあえず食べてみて美味しかったから毎回注文するものもりますよね。
多くの人が食べたことがあるけど実は鶏のどの部位なのか知らないで食べているものの一つに、「砂肝」があります。
砂肝がどの部位の肉かというと胃袋の一部で、分厚い筋肉でできている袋状の器官で、鶏がエサに食べて飲みこんだものをすりつぶす働きがあります。
鳥類には歯が無いので、食べた物は噛まずに飲みこみます。
したがって消化液を分泌する消化器官から砂肝の部分に送り込まれて、そこで咀嚼してから胃の中に送り込まれます。
砂肝の名前の由来とは!?
先ほど説明した通り、砂肝は鶏の胃の一部です。
そして鶏には歯が無いので食べた物を直接飲みこんで消化器官に送り込みます。
硬い物を食べた時は胃前の部分で分泌された消化液だけでは消化できないので、少し溶かしてから砂肝で砕かれます。
砂肝には「胃石」と呼ばれ鵜石のようなものがあり、これは本当に砂のようなもので出来ています。
ここの小石や砂が食べた餌と一緒になり筋肉の収縮の収縮によってすりつぶされて、細かく砕かれて消化しやすくなります。
このようなことから、「砂肝」と名付けられました。
まとめ
いかがでしたか?
鶏肉や鶏料理に「かしわ」の名前を使う地域がありますが、これは方言ではなく文化の違いで使い分けられていたものです。
かしわはその色や形が「柏の葉っぱ」に似ていることからこのように呼ばれるようになりました。
そして昔流行った「チューリップの唐揚げは」最近作る人が少ないかもしれませんが、栄養豊富な鳥胸肉の近くにある手羽元の形を整えてチューリップの形にしたものです。
そして砂肝は鶏肉の筋肉質の胃袋で、中に砂や砂利が入っていることからこの名前が付きました。