バングラディシュの国旗は緑の地に赤の丸、日の丸とよく似ています。

この国は、第2次世界大戦が終了してイギリスからインドとして独立した後、さらにインドから独立してパキスタンの一部(東パキスタン)となり、そのパキスタンからも経済格差等の理由で独立戦争を起こして1971年12月16日に「バングラディシュ」として、やっと独立を果たしたという、激しい戦いの繰り返しの結果、生まれた国家です。

バングラディッシュが日の丸と似た旗に込めた思いはいったい何でしょうか?

また、この旗と日本の国旗の間には、何か特別な関係があるのでしょうか?

ここでは国旗の由来を通じてバングラディシュという国を知り、さらに日本との関係を探っていくことにします。

バングラディッシュの国旗の由来とは!?

由来 バングラディシュ 国旗

バングラディシュの国旗の原型となる旗は、1971年のバングラディシュ独立戦争のときに画家カムルル・ハサン(Quamrul Hassan、1921年12月2日 – 1988年)氏がデザインしたものです。

このデザインは、緑に白でイスラムの象徴である「三日月と星」を描いたパキスタンの国旗に対抗する意味があると、されています。

ハサン氏が最初にデザインした旗は1972年1月17日に正式に制定された現在の国旗と異なり、赤い丸の上にバングラディシュの国土が金色で描かれていました。

正式に制定されたとき、バングラディシュの国土が省略されたのは、旗がはためいているときに国土の形が正しく表現できないためだそうです。

国旗の色の意味とは!?

バングラディシュの国旗はとてもシンプルで、緑の地と赤い丸だけでできています。

緑の地色は国民の9割近くが信仰するイスラム教で伝統的によく使われている色です。

それだけでなく緑豊かな大地や国民の若さ、豊かな活力を示しています。

また中央の赤い丸は太陽がのぼる様子を示すと同時に、独立戦争のときに流された国民の血を意味しています。

このようにバングラディシュの国旗は、豊かでポジティブな意味を持つと同時に、苦しい独立戦争を忘れないという、とても激しい意味合いも含む国旗です。

スポンサードリンク

バングラディッシュの国名の由来とは?

バングラディシュはパキスタンから分離独立するまでは、東パキスタンと呼ばれていました。

東パキスタンがバングラディシュとして独立したのは1971年ことです。

「バングラディシュ」は現地の言葉(ベンガル語)で「ベンガル人の国」という意味です。

「バングラ」が「ベンガル(人)」そして「ディシュ」が「国」という意味で、あわせて「バングラディシュ」となります。

バングラディシュの国民はほとんどがベンガル人なので、まさに「名は体を表わす」国名ともいえます。

スポンサードリンク

バングラディッシュと日本の国旗はなぜ似ているの!?

由来 バングラディシュ 日本

最初に述べたとおり、バングラディシュの国旗は緑の地と中央の赤い丸でできていて、日本の国旗の「日の丸」とよく似ています。

これは、バングラディシュの国旗を決めるときに、初代大統領であるシェイク・ムジブル・ラフマン(Sheikh Mujibur Rahman、1920年3月17日 – 1975年8月15日)氏が、日本の日の丸に魅力を感じてデザインに取り入れることに決めたことに由来します。

ラフマン大統領は、単に日の丸のデザインが好きなだけではありませんでした。

同じアジアの農業国であった日本が工業国として成功していることにあやかって、バングラディシュも将来は農業国から工業国に変身をして発展をして行きたいと願ったのです。

このエピソードは、ラフマン大統領の長女のシェイク・ハシナ・ワゼド(1947年9月28日 -)首相が2014年の来日時に「父は日本の日の丸を参考にしてバングラディシュの国旗を決めた。」と証言したという事実があるため、とても信憑性が高いといえるでしょう。

それだけではありません。

ラフマン大統領たちが国旗を決める際、たまたま国際赤十字の仕事でバングラディシュに滞在していた日本人旗章(きしょう(旗につける図柄のこと))学者が日本の国旗の意味について説明を行なった、という事実もあるようです。

また、ラフマン大統領や実際に国旗のデザインを行なったハサン氏が意識したかどうかはわかりませんが、バングラディシュの国旗と日本の国旗は、もうひとつ共通するところがあります。

白地に赤の日本の国旗(日章旗)は、日の出の太陽を象徴しています。

そして白は神聖と純潔、赤は博愛と活力を意味しています。

これをバングラディシュの国旗の意味と重ね合わせると、中央の赤い丸は共に太陽がのぼるところを象徴しています。

またバングラディシュの国旗では地の緑、日本の日の丸は中央の赤に込めている点は異なりますが、同じ「活力」という単語がでてきます。

バングラディシュの国旗と日本の国旗には、同じ「太陽がのぼる情景」をデザインした国旗であると共に「国の活力」という共通する願いが込められているのです。

日本の国旗と比べて丸が少しずれている理由は?

バングラディシュの国旗と日本の日の丸は確かに似ています。

しかしよく見ると、色合い以外にも、微妙に違うところがあります。

それは、中央の丸い部分の位置。

旗の中央に丸い部分が来る日の丸とちがって、バングラディシュの国旗では、この丸い部分が、中央から向かって左側に少しずれています。

これは、国旗掲揚のときに赤い部分が中心で必ずはためくようにデザインを計算してわざと旗竿(ホイスト)側にずらしてあるのが理由です。

バングラディシュの国旗は、一見無造作なくらいシンプルに見えるけれど、実は細かいところまで計算しつくされた、とても洗練されたデザインであることがわかる、興味深いエピソードです。

まとめ

バングラディシュの国旗の由来と日本との関係について、いろいろな角度から追いかけてみました。

激しい戦火と込み入った経緯を経て独立をやっと達成したバングラディシュが、日本という国に敬意を払ってくれて、しかも私たちの日の丸を、自国の国旗を決めるときにデザインの参考にしてくれた、という話には改めて驚いてしまいます。

そして1970年代当時のアジア地域の人たちの目に、私たちの国日本がどのように写っていたのかを想像しただけで、改めて身の引き締まる思いがします。

スポンサードリンク