私たちが普段日本で使っている通貨は「円」ですよね。
当たり前に使っているので、この「円」がいつから使われているのか、実はあまり知られていないのではないでしょうか。
また今となっては「円」についてどういった由来があるのかも、なかなか知る機会がないものです。
今回は日本人であれば誰もが知っている「円」についてと、アメリカを始め、アジアやシンガポールなどでも使われている「ドル」や中国の通貨である「元」の由来についてもお話していきたいと思います。
日本のお金「円」の名前の由来とは?
日本のお金が「円」という単位であることは周知の事実ですが、外国でも日本の通貨は「YEN」と呼ばれております。
では、一体なぜ「円」というのか、そしていつから呼ばれるようになったのか、その謎を解いていきたいと思います。
日本の通貨単位が「円」である理由。
それはもちろん「お金が丸いから」なんていう理由ではありません。
一見、寛永通宝である古い銭も丸いことからその名前が付けられたのでは、と思う方もいるかと思いますが、実はきちんとした歴史があったうえで、日本で「円」をお金の単位として扱われたと言われております。
最近でもよく見る時代劇では、お菓子と称してお代官様に金貨を渡しているシーンを見たことがある方も多いですよね。
その際には「金貨〇両」と表現して渡していますが、江戸時代の通貨は「両」を始め、「分(ぶ)」や「文(もん)」が使われておりました。
これより日本が「円」と使われるようになったのには、明治初期の頃に発布された新貨条例が法令されたことにより由来していると言われております。
もともと江戸時代の頃では、藩内のみで通用できる「藩札」と呼ばれる領内に限り使用することができる紙幣がありましたが、各藩で異なる紙幣だったため廃藩置県とともに混乱が生じました。
そのため日本国内で共通できる統一通貨として、「円」を始め「銭」、そして「里」という新しい単位が採用されるようになったと言われております。
そして、「円」という名前の由来では様々な説がありますが、有力とされているのは当時の硬貨の形がすべて真円だったことからと言われております。
江戸時代を見ると、この時代の通貨は楕円の形をした小判や長方形の一分銀だったため、新貨条例に伴い公布された真円の形は大変インパクトがあるものでした。
それにより「円」という呼称が付けられたと言われております。
ちなみに「銭」はアメリカの通貨単位である「セント」から来ており、この「セント」と「銭」が似ていることから採用されたと言われております。
お金の単位「ドル」の名前の由来は?
「ドル」は言うまでもなく、アメリカで利用される通貨単位ですよね。
他の国ではカナダを始め、オーストラリアやニュージーランドでも使われるようになっております。
では、「ドル」はどのようにして、国や地域に伝わっていったのでしょうか。
「ドル」はどこからきたのか。
その由来となっているのは、谷の名前からと言われております。
当時は「ヨアヒムスターレル・ヨアヒムの谷」という鉱山で作られた銀貨である「ヨアヒムスターラー」の名前に由来するとされ、それから略され「タラー」と呼ばれるようになりました。
江戸の終わりにはオランダ語形の「ドルラル」が略され「ドル」となったと言われております。
日本でも明治初期の頃までは「ドルラル」と呼ばれ、馴染みの「$」も明治以降に当てられたと言われております。
ドルマークの由来は?どうしてあのマークなの?
ドルマークの「$」は、一度は見たことがある方もいるかと思いますが、そもそもなぜ「dollar」の「D」ではなく「S」を使うのか。
実はこれには二つの説があると言われております。
一つはアメリカ大陸を発見したのがスペインということで、その頭文字である「S」を使ったということです。
この時代の通貨は「ドレラ」と呼ばれておりましたが、次第に「ドル」に変わっていったと言われております。
そしてこの「S」に縦の線が入っているのは「ヘラクレスの柱」というジブラルタル海峡の入口を表現しています。
ジブラルタル海峡と言うのは、スペインとモロッコの間の海峡となっている場所のことです。
そしてもう一つの説は「The United States of Amerika」から「U」と「S」を組み合わせたものと言われております。
この「The United States of Amerika」とは、アメリカ合衆国の事です
中国のお金「元」の由来とは?
中国の通貨は「元」となっておりますが、日本でも「元(げん)」と呼んでおります。
ですが、英語表記になると「yuan」となっております。
そして、中国の紙幣には「元」と表記はされておらず、もとは簡略化されたものと言われております。
そもそも日本よりも先に「円」をお金の単位として使ったのは、18世紀頃の中国とされております。
当時中国では、銀塊を中国銀貨としており、それはメキシコ銀貨が入ってきたことによりこの銀貨の円形指して「銀円」と言われるようになりました。
このメキシコからの銀貨は、中国だけではなく日本にも入っている時代でした。
それより後に中国でも円の形を作るようになったとされましたが、「円」の正字は「圓(げん)」となり、画数が多いため同じ読みとしてある「元(げん)」を貨幣として「銀元」とされたと言われております。
中華民国が成立した後は、「圓」が「両」に変わり正式に通貨単位として扱われるようになりました。
そして中華人民共和国より、「元」が正式な通貨になったと言われております。
ちなみに、今でも台湾での紙幣には「圓」で表されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現代の日本で生きている私たちにとって必要なお金ですが、その由来を知らない方も多かったのではないでしょうか。
そして、正式に「円」になったのは「新貨条例」という公布があってからというのも歴史を感じますよね。
また、昔の通貨は四角形や楕円形から円形に揃えるというのも、当時はインパクトが強いものとして知られておりました。
ですが、現代ではお給料は振込形式となり、物を買うにしても電子マネーを用いたり、カードで簡単に品物を購入できる時代となっております。
またネットでの購入も簡単に出来る時代ですので、より人と直接関わることなく品物の購入もできます。
時代はよりよくするために進化を遂げていますが、貴重なお金としての価値が見えなくなってきてはいないでしょうか。
日本だけではなく、中国やアメリカの通貨での由来をもとに私たちが生きるために必要不可欠であるお金について、その歴史を辿り今に至る経由を知識として身に着けていくことが、これからの世代へとその橋渡しとなり得るのではないでしょうか。