節分に食べる太い巻きずしを「恵方巻き」「丸かぶり寿司」などといいます。

もともとは、関西のごく一部の人々が行なっていた、季節の行事です。

しかし現在は、全国チェーンのスーパーやコンビニでも、節分になると太巻き寿司が売られるようになりました。

ここでは恵方巻きの由来や食べるときのルールと共に、なぜこの行事が全国に広がってしまったかを説明します。 

恵方巻きの由来とは!?

由来 恵方巻き 方角

恵方巻きは、関西由来の風習であることは間違いないようです。

そのルーツをたどるとふたつの説に行き着きます。

ひとつは江戸時代に、大阪の船場の商人が商売繁盛の願いを込めて始めたというもの、もうひとつは江戸時代から明治時代にかけての大阪の花街で節分をお祝いするため始めたというものです。

両方の説を合わせて考えると、大阪の花街で商人や芸妓が、節分に芸遊びをしながら商売繁盛を祈り、今の太巻きの元祖にあたるものを食べたのが、ルーツなのかもしれません。

いずれにしても、この習慣は一端すたれてしまいました。

しかし1970年代後半、大阪海苔問屋協同組合が道頓堀で行ったイベントでこの古い風習を復活し、その結果、関⻄の一般家庭にも広まりました。

その後、1980年代後半から1990年代にかけて、節分商戦のひとつとして丸かじり用の太巻きがスーパーやコンビニで売られるようになり、2000年前後から、関西地方を越えて、全国展開されるようになったようです。

「恵方巻き」の名前の由来は?

この節分用の太巻き寿司を「恵方巻き」と名付けたのは、大手コンビニチェーンのセブンイレブンです。

1989年に広島県のセブンイレブンが、それまで「丸かぶり寿司」や「太巻き寿司」と呼ばれていた商品に「恵方巻き」と名付けて売り出したのが、あっという間に全国に広まって、「恵方巻き」が全国で通用するようになりました。

(ただし、節分用の太巻きずしを最初に売り出したコンビニチェーンはセブンイレブンではなくて、ファミリーマートだそうです。)

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恵方巻きの正しい食べ方とは!?

恵方巻きを節分の日に食べるときには、決められたルールを守らなくてはなりません。

恵方巻きはひとり1本用意します。

食べやすいように包丁で切ってはいけません。

必ず丸かぶりするようにします。

用意した恵方巻きは、必ずその年の恵方を向いて食べます。

恵方とは「歳徳神(としとくじん、その年の福徳を司る神様)」のいる方向を示します。

歳徳神ではピンとこない人も「年徳」「年神様」「正月様」という別の呼び方で呼べば、なんとなく聞き覚えがある人もいるかもしれません。

 歳徳神のいる方向は毎年変わるのですが、いずれにしても吉方で、その方向に向かって物事を行うと良いとされています。

恵方を向いて食べることには、歳徳神のいる方向を向いて食べるという意味があるのです。

恵方巻きを食べるときは、願い事を思い浮かべながら、だれとも話をせずに一気に食べます。

途中でお茶を飲んだり醤油をつけたりしてはいけません。

途中でだれかと話をしたり、恵方巻きから口を離したりしたら、福運が逃げて願いがかなえられなくなるといわれています。

そして恵方巻は残してはいけません。

必ず食べきってしまいましょう。

恵方巻きを1本丸ごと食べる意味とは?

恵方巻きは「丸かぶり寿司」ともいいます。

ひとりにつき1本の恵方巻きを用意して、丸かじりで平らげてしまうのが原則です。

子どもや少食の人など、太巻き1本を食べてしまうことがむずかしい場合は、あらかじめ小ぶりのものを用意して、丸かぶりに挑戦してもらうのもよいかもしれません。

なぜ恵方巻きを丸かぶりしないといけないのでしょうか?

それは、1本丸ごと食べることで、福運を一気に頂くということを意味するからです。

食べにくいからと太巻きを包丁で切ったり、途中で食べるのを止めたりすると、福運と「縁が切れる」ことになります。

そういうわけなので、福運を確実に手に入れるために、がんばって恵方巻きをまるごと1本平らげるようにしましょう。

2019年の方角は!? 

2018(平成30)年は「南南東」を向いて恵方巻きを食べると良い年でした。

そして2019(平成31)年の恵方は「東北東」です。

もっと正確にいうと「東北東やや東(右)」です。

まず方位磁石で調べて東北東を向いた後、そこからちょっとだけ右を向いて食べると良いのです。

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恵方巻きの7種類の具材の由来とは!? 

由来 恵方巻き 具材

恵方巻きに入れる具材は伝統的に7種類と決まっています。

これは七福神にちなんだもので「縁起の良いものにあやかりたい」という心が伝わってくるようです。

7種の具には特別な決まりはありません。

しかし七福神にあやかるということで、つぎのような例をあげることが可能です。

  • 恵比寿(漁業の神様)にちなんで「うなぎ」や「あなご」
  • 大黒天(農業の神様)にちなんで「酢飯」
  • 福禄寿(子宝の神様)にちなんで「しいたけ」
  • 弁財天(紅一点の神様)にちなんで「きゅうり」(きゅうりは花が咲くので)
  • 毘沙門天(福徳増進の神様)にちなんで「桜でんぶ」(邪悪な赤を踏みつけている)
  • 寿老人(道教の神様)にちなんで「かんぴょう」(細長い形が長寿をあらわす)
  • 布袋(金運の神様)にちなんで「玉子焼き」や「伊達巻き」

大黒天と「酢飯」を結びつけたので「具の数が実は6種類ではないか」と考える人も多いと思いますが、細かいことはあまり気にする必要ありません。

6種類の具と酢飯で7種類と考えても、7番目の具をお好みで加えても問題はありません。

現在スーパーやコンビニで売られている恵方巻きの中には、10種類、12種類と具の数を増やしたデラックス版や、逆に食べやすいように具の数を減らした細身のものなど、さまざまなものがあります。

今の時代「7」という数字にこだわる人は、少数派になりつつあるのかもしれません。

まとめ

「恵方巻き」という古くて新しい日本の風習について、その由来やなぜ全国に広がって行ったかということを、食べるときのルールと共に説明しました。

大阪のごく一部の人々の風習に過ぎなかった節分の風習が全国に広がる過程は、なかなか興味深い話です。

また恵方巻きの中身が七福神にあやかっている、というのも、大阪らしく華やかで良いと感じました。

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