日本には、あらゆる地域ごとにそこに根付く郷土料理があります。
郷土料理には、その地域でとれる特産物で作られたものや、古くからその地域独特に伝えられているものなど形態は様々です。
歴史と文化の詰まった愛の溢れる料理といった印象が漂います。
そして、反対に郷土料理を食すことにより、その地域のことを体感して知ることもあります。
ここでは、長野県の信濃に伝わる郷土料理「おやき」についてお話します。
おやきは「焼き餅」や「ちゃなこ」、「はりこし」とも呼ばれる人気の郷土料理」です。
どのような由来や歴史をもつのでしょうか。
目次
長野県の郷土料理おやきとはどんなもの?
おやきとは、簡単にいえば小麦粉で作った生地でお野菜を包むお饅頭のようなものです。
「おやき」という響きからはおふくろの味!というよりおばあちゃんの味といった印象を感じさせられます。
その通り、おやきはおばあちゃんから伝わる、真心つまった郷土料理といえるでしょう。
信州では、仏事には欠かせないもののようです。
お彼岸やお盆には仏前におやきを供える習慣があります。
山間地方では大晦日やお正月にはおやきを食べる風習もあるようです。
また、手軽に食べられることも特徴のひとつです。
最近ではおやきの幅も広がり、様々な具材を中にいれることもしばしば、粉についても小麦粉の代わりに信州特産のそば粉を使用したりもします。
調理方法についても、蒸してみたり揚げてみたり、さらに手が込んだ焼いてから蒸す、といった方法まであるようです。
水の配合具合や調理方法を変化させることでお好みの硬さのおやきをつくることもできます。
このように信州の郷土料理「おやき」は今ではおやつ感覚でも楽しめるように変化しつつあります。
では、具材はどのようなものが主流なのか、また、その他にもおすすめの具材などがあればそれもふまえてご紹介したいと思います。
おやきの中身の具材は?
おやきの具材として、もともとは小豆や長野地方で収穫される、信州ならではの特産野菜、野沢菜、ナス、きのこが主でした。
素朴な郷土料理だったようです。
現在でも、昔からのナスや野沢菜が定番となっていますが、他にも様々な具材にも注目が集まっているといいます。
例えば、切り干し大根やきんぴら、ひじきにおから、キャベツ、玉ねぎ、にんじん、野菜ミックスなど、本当に多くの種類が好まれています。
さらには変わり種としてはチーズ味が人気のようです。
前日の残り物おかずで作ることもでき、さらに手軽さを感じさせられます。
おやつとして食べられることもあり、その際にはくるみや、長野名産のりんごなんかも具材とされているようです。
信州の郷土料理のおやきは、その手軽さから一般家庭でも好きな具材を入れて作れると評判です。
一度作ってみてはいかがでしょうか。
「おやき」の名前の由来とは?
では、「おやき」というなまえについてはどうでしょうか。
親しまれやすく、呼びやすいこの名前の由来は、調理方法からきているようです。
その名の通り、おやきは生地にアンを包んで焼いて作ります。
その工程で昔からの伝統的な手段として囲炉裏が使用されていたといいます。
囲炉裏の灰の中で焼かれたことが、「お焼き」または「御焼き」と呼ばれるきっかけとなりました。
最近では特に家庭の場合、手軽にフライパンなどを使用して焼くことが多くなったおやきですが、伝統的な囲炉裏で焼いたおやきも一度は食べてみたいものです。
おやきはいつ誕生したの?歴史について
ここで、おやきの誕生について掘り起こしてみましょう。
おやきの発祥地は郷土料理としも有名な信州長野県です。
その歴史はどのくらいあるのでしょうか。
実は、おやきの起源は、現在からさかのぼること4000年前だといいます。
長野県の西山地方での発掘調査で縄文時代におやきが作られていたことがわかりました。
縄文遺跡から出てきたのは、炭化した穀物でした。
そんな歴史にあやかった長野県北部の小川村では縄文時代の囲炉裏で焼くおやきを体験できる「縄文おやき村」があります。
有料でおやきの手作り体験もさせてもらえるようです。
実際に、竪穴式住居で食べるおやきを、体験してみてはいかがでしょうか。
そしておやきの歴史の深さを知り、現在こんなにも長期にわたり今に伝わるおやきの魅力に一層引き込まれます。
補足になりますが、おやきはもともと寒い信州地方では、保存食とされていたといいます。
地域の人の知恵から生まれ、環境に適した生活の糧として、昔から重宝してことが伺えます。
北海道では今川焼きの事を「おやき」と言う!?
さて、ここまでおやきについてお話してきましたが、皆さんは「今川焼き」ってご存知でしょうか。
今川焼きとは、形を変えれば「大判焼き」ともいいます。
今川焼きとおやきの違いは、生地にあるといいます。
小麦粉と卵と砂糖をまぜた生地で作る今川焼きに対して、おやきは小麦粉(またはそば粉)と水で作られています。
当然のことながら、今川焼きの生地は甘くて、おやきは甘さがありません。
主食にも副食にもなるおやきに比べれば、今川焼きは、和菓子色が強いと思われます。
しかし、北海道地方や青森県あたりでは、今川焼きのことを「おやき」と呼ぶ地域があります。
北海道付近では「おやき」と言われれば、今川焼きを想定することをおすすめします。
まとめ
おやきの由来や歴史にふれてみて、どのように感じられたでしょうか。
おやきは最近では、コンビニエンスストアーなどでも販売されているといいます。
今の社会において、さらにお手軽感に味わえるように工夫され、人気の高さを感じ取れます。
その他にも、冷凍にして通信販売もされており、もっと幅広く日本全国の各地で、地元の味を味わえるようにもなっています。
さらには、高速道路のパーキングエリアには、おやきに見立てた「中華まん」まで存在するのだとか。
インターネットを検索すると、多くのレシピもご覧になれます。
作ってみるもよし、買ってみるもよし、一度試してみたくなる魅力あふれる郷土料理「おやき」。
実際に出向き、現地信州でも一度食べてみたいものです。