日本の食卓に欠かすことが出来ない存在と言っても過言ではない「ゆかり」ですが、ふりかけにしても混ぜ込みおにぎりにしても、適度な塩加減が食欲をそそり、あっという間に食べてしまうのではないでしょうか。
また飽きることもないので、お弁当のご飯の上にほんのりとのせてあるのも嬉しいですよね。
ですが、実はゆかりという名前のようなふりかけが赤紫蘇であるのはご存知ですよね。
ただ単純に「赤紫蘇ご飯」というネーミングではなく、なぜ「ゆかり」と呼ぶのか。
その謎について紐を解いてみたいと思います。
ゆかりごはんの名前の由来とは!?
炊きたてのご飯に、そっと「ゆかり」を混ぜるだけでほっと幸せな気分になるのではないでしょうか。
ですが、ふと不思議に思いませんか。
この「ゆかりご飯」と聞くと、人の名前かとも思いますよね。
「赤紫蘇ご飯」ではなく、「ゆかりご飯」と聞くとその人が作ったから名づけられたと思う方も少なくない筈です。
ですが、昔からあるこの「ゆかり」は『三島のゆかり』から来ており、それをご飯に混ぜ込んだのを「ゆかりご飯」と言われております。
ゆかりはご存知の通り赤紫蘇でできておりますが、この赤紫蘇を指しているのではなく商品名から来ているのです。
厳密にいうならば、『三島のゆかり』を使用していないものについては「赤紫蘇ご飯」や「赤紫蘇おにぎり」というわけです。
何となく納得いかないところもありますが、実際昔では、「紫蘇ご飯」と言う呼び名で呼ばれており、それがいつからか紫蘇を用いたご飯が「ゆかりご飯」と呼ぶようになったと言われております。
『三島のゆかり』は、紫蘇ふりかけの中では断トツの知名度があり、自然とつながっていったのにも納得がいきます。
今でも給食などでだされる「紫蘇ご飯」が「ゆかりごはん」と出されるところもあり、そういった意味でも知名度が高いと言わざるを得ないのではないでしょうか。
三島食品のゆかりの名前の由来とは!?
「ゆかり」の名前の由来が『三島のゆかり』からきたというならば、そもそも三島食品の「ゆかり」とは?と疑問に思いますよね。
この三島食品からだされた「ゆかり」とは、すなわち「縁」ということを指しております。
よく言葉で「ゆかりのある土地」や「ゆかりある人」などと使うことがあると思いますが、その意味合いと同じと言われております。
実際パソコンでも「ゆかり」と入力をすると「縁」とでできます。
そして一番の由来には、「ゆかり」ならではのその色に由来があると言われております。
実際に「ゆかり」を使った事のある方ならもちろんご存知と思いますが、「ゆかり」の色に注目してみて下さい。
その色は「紫色」をしていますよね。
「ゆかり」にはその「紫色」が大きく関係しています。
実は日本においては、「紫色」は「縁」を表す色とされ、風呂敷を始め冠婚葬祭でも使われる袱紗(ふくさ)」にも使用されているのはそのためと言われております。
歌が元となっているのは『紫の ひともとゆゑに 武蔵野の 草はみながら あはれとぞ見る』という、つまり『紫の草がそこに一本あるだけで、他の草花も愛しく身近に感じられます』と詠まれております。
「縁」があるものは、「ゆかりのあるもの」として、「ゆかり(縁)」から来たのだと言われております。
また、他にはお客さまと縁(ゆかり)がありますようにと、そういった願いが込められ「三島食品のゆかり」と名付けられたと言われております。
話を聞くと簡単に「三島食品のゆかり」が誕生したように感じられますが、実際は大変な労力があったとされています。
1970年頃、「三島食品」では、梅干しの色付けのために赤紫蘇が使われていたことからこの赤紫蘇に注目し、ふりかけとして商品化できないかと開発を重ねておりました。
今でこそ爆発的な商品となった「ゆかり」でしたが、発売の当時には色や香りの問題が多数あり、頭を悩ませていたと言われておりました。
一番の難所でありながらも重要な原料である紫蘇は、当時としては完全というにしては程遠いもので、色や香りに始まり良質とされる原料を仕入れるために、生産地に何度も足を運んだと言われております。
そこで生産者を始め研究者たちとの討論や吟味を繰り返し、原料の質を上げたと言われております。
そういった成果が表れ始め、品質管理も徹底されるようになり優れた品質を保てるようにまで成長を遂げました。
その結果、20年ほど改良と研究を重ね続け、2000年にはついに「豊香」を品種登録されたと言われております。
この「豊香」とは、香りと色が固定化された新品種であり、「豊かな香り」という願いと思いを込めて「豊香」と名付けられました。
その後もこうした大成功を収めたものの、今もなお品質の向上を目指し、日々の研究と努力を怠らずに開発を続けていると言われております。
実は「かおり」と「あかり」もある!
1970年から愛され続けた「ゆかり」ですが、実は「かおり」と「あかり」もあるというのをご存知でしょうか。
「ゆかり」を長女とした妹二人である「かおり」と「あかり」ですが、その特徴や生い立ちについてご紹介していきたいと思います。
「ゆかり」に対して、同じようなパッケージとしてある「かおり」と「あかり」ですが、三姉妹として商品化されており、「かおり」は次女に当たります。
この「かおり」が発売されたのは1984年とされ、青じそのふりかけとなります。
発売当初は1kgと200gの2種類の量でスタートされましたが、小売りの量である18gが1986年に発売されました。
名前の由来としてはその名の通り、青じその香りが良いという理由から「かおり」と名付けられたと言われております。
三女の「あかり」は「ゆかり」と「かおり」からだいぶ経った頃の2010年に発売されました。
当初は「カリカリ梅」と「ピリ辛たらこ」の2種類でしたが、ラインナップの再編として「ピリ辛たらこ味」が「あかり」となったとされています。
名前の由来としては、我が家の『灯り』として、ホッとする家を表現しており、福岡にある総菜店から「あかり」という名前を引き継いだとされています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「赤紫蘇ご飯」がなぜ「ゆかり」と呼ぶのか、それは「三島食品のゆかり」を混ぜたご飯のこと。
そして「ゆかり」が「縁の色」である紫色からきており、お客様との縁を大事にしたいという三島食品さんの想いが込められているとは驚きですよね。
人との「縁」とは、不思議なものです。
目に見えない人との関わりの中で、自然と人と人とを繋ぐ想いというのは、何物にも代えがたいものになるのではないでしょうか。