美味しい和菓子に欠かす事ができないのがあんこですよね。
あんこと言えば、好みが分かれる「つぶあん」と「こしあん」です。
「つぶあん」と「こしあん」の違いはその言葉どおり粒があるのか、こして滑らかなのかですが、では「小倉あん」の「小倉」とは、どういう意味なのかご存知でしょうか。
そもそも「小倉あん」にも「こしあん」と「つぶあん」があるか、それとも全く違うものなのか。
今回はあんこの名前の由来から、小倉あんの由来、そしてこの2種類のあんこの違いなどをお話していきたいと思います。
あんこの名前の由来とは!?
あんこの名前の由来は、一説では魚の「あんこう」からきていると言われております。
「あんこう」は、海底の奥深くで口をあけたまま、ただひたすら待っているだけという姿から、「あんこ」を入れる仕事の姿と類似しているからと言われております。
古い歴史がある「あんこ」ですが、そもそも「あんこ」って言われても何だと思いますか?
「あんこ」は漢字では「餡子」つまり、『あん』ということで、広くは食べ物の中に入れる具として扱われています。
中国では主に「肉類」を入れられていることが多く、日本では小豆やインゲン豆といった「豆類」を用いられることが多いです。
また、「イモ類」としてさつまいもやじゃがいもはもちろん、栗やかぼちゃといった秋を代表する食材も用いられています。
これらを食べ物に入れたり、包んだり、まぶしたりとこういったものを「あんこ」と呼ばれ、英語では「bean paste(豆のすりつぶし)」や「bean jam(豆のジャム)」とも呼ばれております。
では、今で言う「あんこ」と呼ばれるようになったのは、1350年頃、中国から林浄因(リン・ジョウイン)が来日し、天皇に献上した「饅頭」がもとで始まったと言われております。
それ以前では、中国菓子の「肉あん」が原型とされていると言われておりますが、後村上天皇に献上されたこの「饅頭」により、鎌倉時代には小豆を用いられた「小豆あん」と呼ばれる「あんこ」が生まれたとされています。
当初は今でいう砂糖を使用した甘い「あんこ」ではなく、塩での味付けされた「塩あん」が出回っていました。
ですが、室町時代には砂糖の輸入が活発になり、砂糖を使用した「甘味処」が表れ、江戸時代では砂糖が国内生産されるほど拡大し、それにより「砂糖あん」つまり甘い「あんこ」が主流となりました。
小倉あんの名前の由来とは!?
小倉あんの名前の由来の前に、そもそも小倉あんとはどういうものなのかご存知でしょうか。
小豆を使用した「あん」と呼ばれるのにはいくつかの種類がありますが、よく聞かれる「小倉あん」は「つぶあん」や「こしあん」の製法とは違い、『大納言』と呼ばれる小豆を煮て、蜜につけたものを混ぜ合わせてできた「あん」の事を「小倉あん」と言います。
見た目からして違う「こしあん」は間違われることはないですが、「つぶあん」は見た目が非常に似ていることから「つぶあん」でも「小倉あん」と呼ぶ方もいますが、実は全く別のものなのです。
では、「こし」でも「つぶ」でもない「小倉」の由来ですが、これは「小倉山」が由来とされております。
「小倉あん」のポイントとなる大粒の『大納言』が、京都の北西部にある小倉山周辺でとれるものが品質が良いとされ、最適ということで小倉山でとれた大納言の使用という理由から「小倉あん」と呼ばれるようになりました。
この「小倉あん」が作られたのは西暦820年頃と言われ、時代の普及とともに江戸時代では茶道の菓子として人気があり、お茶のお供として使われていました。
ですが、江戸の周辺地域では『大納言』は栽培されておらず、なかなか手に入ることがなかったので「小倉あん」自体は大変貴重な食べ物でした。
今でこそ手軽に食べられることが多い「小倉あん」ですが、江戸時代では大変貴重で高価な食べものとして知られていました。
あんこと小倉の違いとは何!?
あんこといったら「つぶあん」か「こしあん」か、と考えられる方が多いかと思いますが、あんこの仲間である「小倉あん」がどういったものなのか、と聞かれると言葉につまってしまうのではないでしょうか。
「つぶあん」と「こしあん」との違いは文字どおりなので説明できますが、一般的にある「あんこ」と「小倉あん」の違いについてお話していきたいと思います。
まず、あんこの種類ですが「つぶあん」と「こしあん」、さらに「つぶしあん」、そして「小倉あん」の4つがあります。
聞いたことはあっても、それぞれの特徴が分かりずらいところがありますよね。
まずはそれぞれの「あん」の特徴についてお話していきたいと思います。
まず「つぶあん」ですが、見た目にもはっきりとつぶつぶした状態がわかる小豆のあんこです。
小豆の粒をつぶすことなくふっくらと焚き上げたあんでもあり、小豆の食感を楽しむことができます。
次に「こしあん」ですが、小豆の粒を裏ごしすることにより、滑らかに練り上げたあんこです。
一般的に羊羹や薄皮饅頭にはこちらのこしあんが使われることが多く、関東方面でもこしあんを好まれる方が多いです。
あまり聞き慣れないあんこですが、「つぶしあん」もあんこの仲間です。
小豆をすりつぶし、練り上げた状態のものを「つぶしあん」と呼びますが、しっかりとこすのではなく、皮がのこる程度につぶしているので、「つぶあん」と「こしあん」の中間あんこのようなものです。
一般的に和菓子に多く使われることが多いのも、こちらの「つぶしあん」です。
最後に「小倉あん」ですが、単純に「こしあん」と「つぶあん」を混ぜたものを「小倉あん」と呼ばれることもあるそうですが、基本的にはこしあんの蜜に、大粒の大納言を混ぜあわせたあんこを「小倉あん」と呼ばれております。
大納言は特に小豆の中でも大粒の品種を『大納言』と呼ばれておりますが、その由来は切腹の習慣がなかった公卿官位の呼び名でもあり、煮た時に皮が破れにくい特徴から、そう名付けられたと言われております。
普通の小豆と大納言との大きな違いは、5.8mmとその大きさのみならず、皮の破れにくいということからきているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
一見つぶあんのようにみえる小倉あんですが、実はただのつぶあんではない、ということがわかったのではないでしょうか。
丹波や小倉山の大納言を使用した小倉あんは普通のあんことは違い、ちょっと高級なあんこです。
いつも食べているあんこでも、あんこの種類を意識しながら食べてみると、面白いのではないでしょうか。
また小倉あんを使用したお菓子を作ってみるのも、楽しいかもしれません。