ひょうたんとは、ウリ科の植物で、一年生つる草です。
ユウガオの変種のひとつでもあります。
ユウガオの果実は苦みがありませんが、ひょうたんは果実に苦みがあり、かじると嘔吐などの症状が現れることも。
実の形は、皆さんご存知の通り、真ん中あたりでくびれた、特徴的な形をしていますよね。
小学生のころ、育てていた学校もあったのではないでしょうか?
ひょうたんは発芽率がよく、滅多なことが無いと枯れたり異常が起きることはありません。
育てるのにはもってこい、という訳ですね。
ところで、そんなひょうたんですが、実は縁起物と言われているんですが、知っていましたか?
言われてみると、お守りなどを見ていると、ひょうたんの形をしたキーホルダーなども売られていますよね。
昔から日本に存在している植物だからこそ、色々な逸話があり、そこから派生した所以などもあります。
ここでは、そんなひょうたんについてお話ししていきましょう。
ひょうたんの名前の由来・意味とは!?
ひょうたん、という名前の由来ですが、実はちょっとした誤解から生まれたんだとか。
孔子の弟子である顔回は、あまり生活が裕福ではなかったので、一汁一菜の食生活を送っていました。
食器を満足に買うこともできなかった彼は、植物を皿の代用としていたのです。
ごはんには、薄く削った竹を編んで作った「箪」を、お汁には、瓢(ひさご)を使っていたのです。
瓢とは、ひょうたん・ゆうがお・とうがんなどの総称ですから、おそらくその品種の植物を、代用していたと思われます。
中でも、ひょうたんが一番頑丈な実を作りますから、語源の由来から考えても、代用として使っていたのは、ひょうたんだったかもしれません。
それを見た孔子は、「一箪(いったん)の食(し)、一瓢(いっぴょう)の飲(いん)」と、論語で述べています。
まさにそういった、少し貧しい食生活のことを「箪瓢(たんひょう)」と呼ばれるようになり、それがいつの間にか徐々に逆に転換して、現在の「瓢箪」というものになったそう。
そんなひょうたんが、縁起物として扱われているイメージがなかなかつかない気もしますが、これはあくまで、ひょうたん、という名前が付いた理由。
名前が確立してから、ひょうたんはその見た目や実のなり方などに着目されて、良い意味を持つ植物へとなっていったのです。
それは花言葉をみても、わかるのではないでしょうか?
ひょうたんの花言葉について
ひょうたんの花が咲いているのを見たことはありますか?
実の見た目にはそぐわない、白くて可愛らしい花が咲きます。
ひょうたんの花言葉は「繁栄」「利得」「夢」「円満」といった意味があります。
これらは総じて、蔓が良く伸びて、実が鈴なりに成る様子から生まれました。
ひょうたんがなっているのを見ると、確かに圧巻ですよね。
実がたくさん成ることから、子孫の繁栄を願われたり、仕事や物事がうまくいくように、と願いを込めたり。
蔓がよく伸びて、実と実とを繋げる様から、家族みんなが円満に暮らせますように。
また、蔓が伸び実を繋げる様は、まるで夢を追う過程にようにも見えますよね。
そんな理由から、「夢が叶う」という意味の花言葉も持つようになりました。
どれも、とてもポジティブな意味をもっていますよね。
ですから、きっとひょうたんは縁起がいいとされているのでしょう。
では縁起がいいとされる理由は、いったいどこからきたのでしょうか?
ひょうたんが縁起がいいと言われる理由や由来とは!?
今でこそ、ひょうたんは飾りものとして扱われており、その実の頑丈さから、容器・楽器・工芸品など、いろんなものに加工され、私たちの生活に馴染んできました。
そんなひょうたんは、昔から「神さまが宿る」という言い伝えが残っています。
その実の中に邪気や悪いものを吸い込み、浄化をすることができると言われています。
ただ吸い込むだけでなく、くびれた部分から上へは逃がさない、という意味もあります。
西遊記に出てくる、金角・銀角も、ひょうたんをもっていて、沙悟浄たちを吸い込んだ…というストーリーもありますよね。
あれは敵側でしたが、なんでも吸い込む、という言い伝えが、少なからずお互いに影響しているようですね。
なんにせよ、吸い込んだものを二度と外へ逃がさないという面から、悪いものを吸い込んで、縁起のいいもので満たそうという意味が込められているのです。
また、かの豊臣秀吉が、ひょうたんを馬印としていたことも、縁起物であることに関係しています。
秀吉の馬印のことを「千成瓢箪」とも言いますが、これは「千を成す」という意味です。
様々な物事を成すことができるように、という願いを込めており、これが現代にも浸透していき、「必勝祈願」「立身出世」の御守りとしてもメジャーになっていったのです。
もちろん、現代に至るまでに、戦国時代では、他の武将たちもひょうたんを馬印としてもちいたり、戦における功績を残すたびに、ひょうたんをコレクションしたり…。
これを持ち歩くことで、良いことが舞い込む、といった考えが浸透していったようですね。
秀吉自身も、ひょうたんをコレクションしていたんだとか。
秀吉が集めるのであれば、ひょうたんはきっといいものに違いない!と思われていたんでしょうか。
だとしたら、権力者が与える影響力のすごさを感じますね。
こんな話もあります。
ひょうたんは、昔は薬入れとしても用いられていました。
子供が風邪をひいたり、体調を崩した時には、ひょうたんを枕元に置くと治りが良くなる、という風水もあるのです。
もともと風水の本場である中国からの伝えですので、大変信憑性が高かったのもあると思われます。
一体どの時代の言い伝えかは定かではないのですが、昔から日本人はそういった占いや風水といったものを、よく信じては信仰する風習にありましたので、本場がやっているのだから効き目があると確信していたのかもしれませんね。
とはいえ、それも現在の縁起物である言い伝えに繋がる良い風習です。
これは風水も信じざるを得ませんね。
こうしてみると、ひょうたんには様々な効力があると言えます。
- 邪気を払って浄化する「魔除け」
- 必勝や立身を祈願する「名誉・地位の確立」
- 風水による言い伝えから「健康長寿」
他にも、蔦がたくさん伸びて実が鈴なりに成る様から、
- 「子孫繁栄」
- 「家運興隆」
などの効果も。
言われてみれば、お守りのキーホルダーなどには、よくひょうたんの飾りがついていたりしますよね。
これらが主に、ひょうたんが、いろんな面から開運に効くとされてきた所以なのでしょう。
まとめ
三つそろえば「三拍(瓢)子」で縁起が良い。
六つそろえば「六瓢箪」で、無病息災。
といった言葉が存在するぐらい、ひょうたんの縁起のよさは、こんな風にいろんな面でありがたいとされています。
昔は、各家庭にひょうたんを飾り物として置いていたほど、縁起がいいものとして普及していました。
今ではあまりなじみがないですが、お守りグッズなどにはまだ名残がありますね。
もしもお守りを買う時などは、あえてひょうたんに形のものを選ぶのもいいかもしれませんね!
近頃では、ひょうたん飾りもいろんな加工を施されて、オシャレであったり、さりげないデザインで作られています。
玄関などに置いてみても、素敵な飾りになりますので、ぜひ興味があったらさがしてみてください!