菊は、桜とともに「日本の国花」とみなされている花です。

理由のひとつは、菊の花が皇室の紋章のデザインとして使われているためでしょう。

確かに多くの人が日本を象徴する花として親しみを感じています。

しかし菊にはもうひとつ、「仏花」としての側面があります。

仏壇に供えたり、葬儀の場に飾る花として、菊(特に白い菊)を連想する人も多くいるでしょう。

ここでは、菊の花のこのふたつの側面について、その由来から順番に解説して行きます。

菊の花の名前の由来とは!?

由来 菊 葬式

菊は、いろいろな意味で日本人に馴染みの深い花です。

にもかかわらず、菊は日本原産の植物ではありません。

菊は、奈良時代後期から平安時代の始めの間に中国から日本に伝わってきました。

なぜなら、奈良時代の「万葉集」には菊についての和歌が全くないのに、平安時代の前記に編編さんされた「古今和歌集」には菊を扱った和歌が登場するからです。

菊は日本の気候に適していたため自生するほど日本に根付き(350種類もの「野菊」が確認されています)、その後江戸時代には品種改良によって、さまざまな品種の菊が生まれました。

「菊(きく)」という名前の由来は、行き詰まるという意味の「窮まる(きわまる)」を語源とするものです。

別に菊が何か差し迫った状態を連想させるためではありません。

菊の花は、1年が「窮まった」時期、つまり1年の最後に咲くことから、この名前がついたといわれています。

また「菊」という漢字は、花が中心に向かって巻き込むように咲く形が、手のひらに米をおいて握った様子に見えるためつくられたものです。

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菊の花言葉の意味や由来とは!?

菊の花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」の3つです。

気品を感じさせる美しい言葉です。

「高貴」とは身分が高いこと、「高潔」とは人格が立派で汚れがないこと、「高尚」とは知性・品性が優れていてしかも上品であること、という意味です。

なぜこの言葉が菊の花言葉に定められたかというと、菊が皇室の紋に定められていることと関係しています。

菊は日本人にとって、特別な存在なのです。

色別の菊の花言葉を紹介!

菊はさまざまな色の花を咲かせます。

そして、その花の色ごとに、異なる花言葉があります。

紅菊(赤い菊)の花言葉は、「愛情」「真実の愛」「あなたを愛しています」です。

一般的に赤色の花には「愛情」や「情熱」に関係した花言葉が使われることが多く、赤い菊の花もそれにならったのであると、考えられます。

ピンク色の花の菊には「甘い夢」という花言葉がついています。

ピンクは優しさ、ういういしさ、初恋などの甘いムードを連想させる色だからです。

白い菊の花言葉は、「真実」「誠実な心」「慕う」です。

白は汚れのない清らかさに繋がる色なので、花言葉もクリーンな雰囲気や一途な心をあらわすものが使われています。

黄色い菊の花言葉は「破れた恋」です。

その他にも「高潔」「おぼろげな思い出」「わずかな愛」「軽んじられた恋」「失意」という花言葉があります。

黄色い花には、一般にあまりポジティブでない花言葉が与えられることが多いのですが、黄色の菊の「破れた恋」もその影響でしょうか。

黄色の菊はよく見かけるし、よい雰囲気の花束を作ることができますが、人(特に大切に思っている恋人や友人)に贈る場合は気をつけた方がよいかもしれません。

濃い紫色の菊の花言葉は「恋の勝利」「夢がかなう」です。

上品でどことなく神秘的な雰囲気が漂う紫色には、ちょっとした魔力があるようです。

紫色に限らず、濃色(のうしょく)と呼ばれる濃い色の菊には「私を信頼してください」という花言葉がさらに付け加わります。

その他の色の菊、たとえば西洋生まれのスプレー菊に時として見かけるオレンジ色や緑色の菊の花、には特別な花言葉はありません。

一般的な菊の花言葉である「高潔」「高尚」「高貴」という花言葉がそのままあてはまります。

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なぜ菊の花は葬式で使われるようになったの?その理由とは?

由来 菊 葬式 理由

菊は皇室の紋章に使われるほど格調の高い花です。

それなのに、なぜお葬式で菊の花、それも白い菊ばかりを使うのでしょうか?

菊、それも白い菊に関する最大の疑問点といってもよいかもしれません。

この疑問に対するいくつかの説を紹介します。

本当はどれかひとつの説が正しいのではなくて、いろいろな理由が重なり合っているのかもしれません。

まず、菊は皇室の紋章に使われるほど格調の高い花だからこそお葬式のような大切な儀式に使うのだ、という説があります。

その一方で菊を使う習慣は、実は日本独特のものではなくて、ヨーロッパから持ち込まれたのだという説もあります。

菊を葬儀に使うようになったのは明治時代以降のことだといわれていますが、その頃のフランスなどでは祭壇に亡くなった人に白菊を捧げる文化があったため、日本人がまねをするようになった、という説です。

さらに、菊の花がとても丈夫で長持ちのするため、葬儀のときに使うのに都合が良かったというきわめて実用的な説もあります。

その他にも菊の香りがお香に似ているからなど、さまざまな説が展開されているようです。

そしてなぜ白い菊ばかり、ということについては「白は本来喪の色だから」ということが理由にあげられます。

現在の日本では喪服は黒と決まっているようですが、ひと昔前は白も正式な喪の色でした。

そのせいか、あまり菊の花にこだわらないキリスト教徒も「白い」カーネーションを葬式に用いることを好むようです。

まとめ

菊の花や花言葉の由来を紹介しました。

そして菊は非常に高貴なイメージのある花なのに、なぜ葬儀会場を飾るのにばかり使われる印象があるのか、という問題について説明を試みました。

現在でも白菊は葬儀の主役といってもよいほどよく使われているし、仏様の前にお供えする仏花としてのイメージが菊にはついて回ります。

しかし、菊の栽培を趣味にする愛好家は決して少なくないし、菊の花言葉にはポジティブな響きのものの方が多いくらいです。

近頃は葬儀の場でも、白菊一辺倒ではなくて、故人の好きだった花を選んで飾る場合も多くなっているようです。

菊も仏花として扱われるだけでなく、本来の「高貴」「高潔」「高尚」な花として、もっと華やかな場にも登場する時代が来つつあるのではないでしょうか。

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