メキシコは中央アメリカにある国です。
北側にアメリカ合衆国という超大国が位置しているため、地味な印象を受ける国ですが、マヤやアステカなどの古代文化で有名な、歴史の長い国です。
ここでは、このメキシコの国名や国旗についてのエピソードと共に、誰もが好きなメキシコの軽食「タコス」について紹介し、メキシコの豊かな一面を説明することにします。
目次
メキシコの国名の由来とは?
「メキシコ」の正式名称は 「Estados Unidos Mexicanos(「エスタドス・ウニドス・メヒカーノス)」、英語読みでは「The United Mexican States(ザ・ユナイテッド・メキシカン・ステイツ)」です。
略称は「México([メヒコ)」あるいは「Mexico(メクスィコゥ)」です。
日本語では「メキシコ合衆国」が正式名称で、通称が「メキシコ」となります。
メキシコの国名は、独立戦争の最中の1821年に正式に決まりました。
”México” はナワトル語(アステカ民族の言語のひとつ)で「メヒクトリ(神に選ばれし者、アステカの守護神)の地」を意味する「Mēxihco」に由来しています。
本来の「メキシコ」は、16世紀にスペイン人がアステカ王国を破壊して作った、スペイン領ノバ・イスパニアの首都の名前です。
それがいつの間にか国名として通用するようになり、1821年のスペインからの独立後も、国名として採用されたのです。
メキシコの漢字表記は?
メキシコを漢字であらわすと「墨西哥」となります。
なぜこの漢字を使ったのかは不明です。
おそらく完全な当て字で、文字自体に特別な意味はないと推測されます。
そのため、メキシコのことは、しばしば漢字で「墨(ぼく)」あるいは「墨国(ぼっこく)」と略されます。
たとえば、メキシコの日本人学校(日本メキシコ学院)のことを「日墨学院(にちぼくがくいん)」と表記したりします。
メキシコの国旗の由来とは!?
メキシコの国旗は、向かって左から緑・白・赤の3色を並べたトリコロール旗で、中央に蛇を加えた鷲をデザインした国章が描かれています。
このトリコロール旗は、1800年代始めのスペインからの独立戦争の時代、独立派の「3つの保証軍」が掲げた旗が元になっています。
ただしこの旗は3色が斜めに並んでいるなど、現在の国旗とはかなりデザインが異なります。
そしてその後独立戦争に勝利して1821年にメキシコ帝国ができたときから、向かって左から右に向かって緑・白・赤が並び、中央に国章が描かれた、現在の国旗に近いものが使用されるようになりました。
国旗のデザインはその後数回変更されていますが、色や国章の配置される場所など、基本的な部分は変更されていません。
なお、現在の国旗が使用されるようになったのは、1968年以降のことです。
メキシコの国旗の色の意味とは!?
メキシコの国旗の緑・白・赤の3色は制定当時には、独立戦争の際にかかげた独立・宗教・統一の「3つの保証」を意味していましていました。
すなわち緑は「メキシコ諸州のスペインからの独立」、白は「カトリックへの信仰」、赤は「人種・民族的な統一」です。
しかしその後、メキシコでは政教分離政策が取られるようになったため、現在では緑を「国民の希望」、白を「団結」、赤を「独立戦争の英雄達が流した血」に読みかえるようになりました。
メキシコの国旗に関する法律では、色の意味に関する規定は特に存在しないので、国旗の色の解釈については、他の説も存在するようです。
国旗の真ん中のデザインの意味とは?
メキシコの3色機の真ん中には、「蛇をくわえた鷲(わし)が、水の上の岩に生えたサボテンの上にとまっている」というデザインの国章が描かれています。
これは、アステカ帝国の首都「テノチティトラン(現在のメキシコシティ)」を建設した際に「蛇をくわえた鷲がサボテンにとまっている地に新しい都を築くように」という神のお告げがあった、という伝説をもとにしているそうです。
このデザインは、基本的なコンセプトは代わっていないものの、メキシコ国旗の制定以来、数回にわたって変更されながら、現在に至っています。
イタリアの国旗と似てる?違いは?
真ん中に描かれた国章を隠してしまったら、メキシコの国旗はイタリアの国旗と同じ、緑・白・赤の3色旗になります。
メキシコとイタリアは全く同じトリコロールの旗になる、と早とちりしてしまう人もいるかもしれません。
しかし実際には、メキシコ国旗の緑や赤は、イタリア国旗の緑や赤に比べ、やや暗めの色を採用しているため、国章がなくなったとしても、両方の国旗の区別をつけることは可能です。
また、メキシコ国旗は縦横の比率が4:7であるのに対してイタリア国旗は2:3と少しだけ縦長になっているので、何から何までそっくり、というわけではありません。
そしてもっとも大切なことは、それぞれの3色に込められた意味の違いです。
メキシコ国旗の緑は「独立」、白は「宗教」、赤は「統一」の願いを込めて制定されたのに対して、イタリア国旗の緑は「美しい国土」、白は「雪」、赤は「愛国者の血」を表わしています。
メキシコ料理で有名なタコスはどうやって誕生したの?
メキシコ料理といえば「タコス」という言葉が飛び出してきそうなくらいです。
実際に、タコスはメキシコ料理を代表する国民食のひとつといって構わないでしょう。
世界中でいろいろなスタイルの「タコス」が楽しまれていますが、本場メキシコでは、とうもろこしの粉で作られる「トルティーヤ」と呼ばれる皮に、さまざまな具材をのせて、好きな「サルサ(ソースのこと)」をかけて手で包んで食べるのが、一般的です。
このタコス、どのようにして誕生して、メキシコの人々食生活としっかり結びつくようになったのでしょうか?
タコスの起源はおよそ6,000年前までさかのぼります。
メキシコ中央高原の先住民が、とうもろこしの栽培を開始して、世界で最初のトルティーヤが焼かれるようになったからです。
彼らはトルティーヤの中に、インゲン豆や唐辛子、野うさぎや七面鳥、さらには昆虫まで、いろいろな食材を巻き込んで食べていました。
焼いたトルティーヤは、携行食としても便利だったはずです。
トルティーヤ、そしてそれに具材を巻き込んで食べるタコスは、マヤ文明やアステカ文明の長い歴史を通じて人々の食生活を支え続けました。
1519年にスペイン人がメキシコの征服を始めると、それまでのメキシコの食文化には存在しなかった牛や豚や羊、さらには玉ねぎやにんにくやコリアンダーといったヨーロッパ大陸の食材も、タコスの具材として使われるようになりました。
これらはそれまでの食文化と複雑に混ざり合い、バリエーションの豊富なタコスを中心とするメキシコの食文化を形成して、現在に至ります。
タコスの名前の由来とは?
メキシコの国民食として超有名なタコス(Tacos)ですが、その名称の由来は何でしょうか?
タコスの単数形はタコ(Taco)で、これ自体が「軽食」を意味する単語になっています。
「タコ」そのものの語源ははっきりしませんが、「包む」という意味、あるいは「円筒形」という意味があるようです。
いずれにしても、薄く伸ばして焼いたクレープのようなものに、何かを包んで食べたら、メキシコではすべて「タコ」あるいは「タコス」ということになるようです。
まとめ
メキシコという国の成り立ちから、代表的な食文化である「タコス」まで、メキシコの代表的なことがらの由来について、説明してきました。
それらを一通りふり返ると、メキシコという国は、文化的にも人種的にもアステカ帝国の末裔とスペインなどのヨーロッパ出身者が混ざりあった国なのだ、ということが、実感できる気がします。