夜空にキラキラと光る星。
都会ではなかなか見ることができませんが、地方に行くと、夜は見事な星空をながめることができる地域もあるでしょう。
ところで星の成り立ちはどうなっているのでしょうか?
科学的な話ではありません。
ここでは「星」という漢字や星の記号(☆)の由来など、3つのエピソードを説明します。
星の漢字の意味や由来とは?
「星」という漢字は、上の「日」の部分と下の「生」の部分に分解することで、意味や由来がはっきりしてきます。
上部の「日」は、もともとは「晶」という漢字が使われていました。
「晶」はもともと「澄み切った星の光」をあらわす象形文字です。
ここから「ひかり」「あきらか(明るくきらきら輝く)」といった意味が生まれます。
一方、下部の「生」は、「草・木が地上にはえた」をあらわす象形文字です。
地上に「はえる」ことで「いきる」ことになるので「はえる」「いきる」という意味が生まれます。
ただしここでは「生」は「清」に関連して「すみきっている」という意味になります。
したがって、「ほし」という漢字は「晶」と「生」が上下に組み合わさって「曐」(旧字体)となり、さらに上部の「晶」が「日」と省略されて、「星」となりました。
星の形の由来について
星をシンボルとして描くとき、人はどうして☆の形に描くのでしょうか?
☆は、五芒星(ごぼうせい)と呼ばれる形の内部を塗りつぶしたものです。
そもそも昔の人は星をどのように描いていたのでしょうか?
ヨーロッパの初期の星図では、星はただの丸で表されていました。
しかし時代が下がるにつれて、それにトゲのようなマークをつけて、星のまたたきを表していたようです。
ヨーロッパの星図にあらわれるトゲの本数には、時代的な変遷があり、これは気候の変動と関係していたという説があります。
一方ヨーロッパ以外のたとえば中国や日本、あるいはイスラム圏の文化では、星を丸の形やその大小で表現したようです。
今日でも日本の相撲では○を白星、●を黒星といいますが、これは古い時代の名残りと考えられます。
つまり、世界の多くの地域では、実は星は○や○にトゲをつけた形で星をあらわしていることになります。
いったいどうして☆が星を意味するようになったのでしょうか?
実は、確定した説ではないのですが、起源は古代エジプトに存在するようです。
古代エジプトで空を表すために部屋の天井に刻んだヒトデのマークが☆の形の基礎になったという説です。
エジプトの作家らにあるウナス王(紀元前2353 – 紀元前2323)のピラミッドの中で、その様子を確認することができるそうです。
また古代エジプトの象形文字では、星は5本のトゲで表したそうで、それも☆の由来のひとつになった可能性があります。
流れ星に願い事をすると願いが叶うと言われている由来とは!?
「流れ星が光っている間に願いごとを3回唱えると、その願いがかなう」といわれます。
よく聞く話なのですが、はっきりした根拠はありません。
しかしどうして、このような話が広まっているのでしょうか?
決定打といえる説は見つからないのですが、いろいろなところで引用されている有力な説があります。
それは、ウラル・アルタイ系民族の間に次のような話が伝わっていて、それが影響している、という話です。
「神様は、ときどき下界の様子をながめるために、天界の扉を開けます。するとそこからこぼれた天界の光が、下界からは流れ星として見えます。そのため流れ星が流れている間に願い事をすると、神様がその願いを聞いてくれます。ただし神様が天界の扉を空けるのはほんの一瞬なので、その間にしっかりと願いごとを唱えなければなりません。」
ウラル・アルタイ系民族とは、北ヨーロッパ・東ヨーロッパ・北アジア・中央アジアなどに住んでいる、ウラル・アルタイ系の言語を話す民族だそうです。
実は日本語もアルタイ語の一種であるという意見も、学問の世界では存在するそうです。
日本では上記の伝説は聞いたことはありませんが、もしかしたら日本にも失われた流れ星の伝説が存在していたかもしれません。
中国の古い小説である「三国志演義」には、赤い流星が3度流れ、登場人物のひとりが自分の命が残っていないところを感じ取る、といエピソードが伝わっています。
このエピソードのおかげで中国では、流星と人の命を結びつける考えが、発生したそうです。
また、上記の伝説がヨーロッパにも伝わっているため、この伝説とキリスト教との間に関係がある、と考える説もあるようです。
しかしキリスト教にはそのような教えは存在していないので、関係しているとすれば、キリスト教以前のヨーロッパの古い伝説の中に見つかるはずです。
キリスト教の影響がある物語といえば、アンデルセンの有名な童話である「マッチ売りの少女」です。
この悲しい物語には、少女の亡くなった祖母の話として「流れ星は誰かの命が消えようとしている象徴」というせりふがあります。
「三国志演義」や「マッチ売りの少女」から考えてみると、伝説の世界ではともかく、現実の世界に生きている人間は、流れ星に命のはかなさを感じてしまうのかもしれません。
話題はもとの流れ星と願いごとの関係に戻ります。
「流れ星が光る間に願いごとをするとそれが叶う」理由に関しては、少なくともひとつ有力な仮説が示されました。
しかしなぜ3回唱えないといけないのか、に関しては根拠が示されていません。
これはごくわずかな時間に3回唱えるのはとても難しいから、という単純な理由によるのかもしれません。
あるいはその短い時間に願いを3回唱えるためには、普段から自分の願いを常に明確にし、それを意識していることが不可欠だから、という説もあります。
いずれにしても、なぜ3回なのか?なぜ2回や4回、あるいは5回ではいけないのか?という点に関しては、ただ想像をたくましくする以外に方法はないようです。
まとめ
「星」に関して、漢字や記号の成り立ち、そして流れ星と願いごととの関係に関するエピソードのいくつかを説明しました。
説明をまとめる際に、記号の由来や流れ星と願いごととの関係に関しては、一応それらしい有力な説はあるものの、不確かなことも多く、わからないことだらけだな、という印象を受けました。