「赤ちゃんはどこから来るの?」という問いかけに「コウノトリが運んでくるのよ」と答えた事がある人は多いはず。
何故コウノトリが運んでくるのか。
またそのイメージは何故定着したのかをご存知でしょうか。
今回は赤ちゃんとコウノトリにまつわる由来をご紹介します。
目次
コウノトリが赤ちゃんを運ぶ話の由来とは!?
コウノトリが赤ちゃんを運ぶ話には3つの由来があります。
アンデルセン童話
現在の日本に定着しているイメージの由来はアンデルセン童話の「沼の王の娘」というお話です。。
子供のいない夫婦にコウノトリが子供を届けるという印象的なシーンがあります。
一節だけ読むとほのぼのしておりますが、実際は浦島太郎の人生を波乱万丈にしたようなお話です。
興味がある方は読んでみてくださいね。
ヨーロッパの言い伝え
ヨーロッパには「赤ちゃんはコウノトリのくちばしで運ばれてくる」「コウノトリが家に住みつくと幸福が訪れる」という言い伝えがあります。
風呂敷などに包まれてコウノトリが運ぶイメージが強いですが、本来の伝説では首のあたりを直接くわえて運んでくるようです。
そのため頭の後ろや首の後ろに出来る痣のことを「コウノトリの噛み跡」と呼んだりします。
コウノトリの噛み跡の正式名称はウンナ母斑。
新生児の3割ほどに見られ、3歳ごろに自然に消えていくと言われています。
ドイツやノルウェーの婚姻事情
言い伝えや童話のコウノトリは当時の婚姻事情がモデルとなっています。
中世ドイツやノルウェーでは夏至の間に婚姻を行う事が主流とされていました。
そのため婚姻して間もなく妊娠し、翌年春ごろに出産するという夫婦が多かったそうです。
コウノトリは渡り鳥のため、春にドイツやノルウェーにやってきます。
「出産の多い春」に「やってくるコウノトリ」はもうすぐ赤ちゃんに会えるという幸せな気持ちを与えたに違いありません。
「コウノトリが赤ちゃんを運ぶ」というイメージがはそこから定着したのだと思います。
コウノトリの語源とは!?
コウノトリの語源は「かうのとり」。
漢字で書くと「鸛」。
中国から入ってきた「カン」という漢字と「鳥」が合わり出来た漢字だと言われています。
当時の日本では「ン」という表記が無く、「カン」を「かう」と読みました。
そこから更に音が変化していきコウノトリいう名前になったそうです。
現在では幸せを運ぶというイメージから「幸の鳥」と表記する場合もありますが、完全な造語です。
幸せや赤ちゃんを運ぶと言われるコウノトリですが、厳密にいうと日本のコウノトリとヨーロッパの言い伝えのコウノトリは違う種類です。
現在絶滅危惧種に指定されている日本のコウノトリは生粋もの、ヨーロッパでよく見かけるのはシュバシコウと呼ばれる種類です。
日本のものはクチバシが黒く、シュバシコウは赤っぽい色をしていることが特徴です。
ヨーロッパではシュバシコウは大量に見られ、家の屋根や電柱などに大きな巣を作っています。
赤ちゃんにはなぜ「赤」が付くの?
そもそも赤ちゃんはなぜ「赤」がつくのでしょう。
見た目の色
お腹の中に居る間、赤ちゃんは血液を通して酸素をもらいます。
なので体の中に酸素を運ぶ役割をする赤血球をたくさん持っています。
その量なんと成人の20%以上!
たくさんの赤血球を持ったまま生まれて来るため、生まれてすぐは赤っぽい皮膚の色をしています。
そのため「赤」ちゃんという呼び名がついているという説が一般的です。
血液の象徴
見た目の色と似た話になりますが、血液の象徴として「赤」が使われているという説です。
その説を裏付けるのが結婚式の和装。
結婚式の和装で白無垢の後に赤い色打掛に着替えるのは、嫁ぎ先へ産まれ直す意味をもっています。
赤ちゃんであり血液の象徴である「赤」色を取り入れ、嫁ぎ先の娘として生まれ変わるという意味があります。
赤色は血液の他にも純粋さや無垢の意味合いもあります。
全て赤ちゃんにも当てはまりますね。
他にも生命力の象徴である太陽の赤、陰陽道の朱色から来ているという赤、力いっぱい泣くため力んで顔が真っ赤になる為など様々な説があります。
赤ちゃんの喋り声を「バブー」と表すのはなぜ?
赤ちゃんは実際にバブバブと言うから
0~9ヵ月頃の赤ちゃんを「バブバブ期」と言います。
生まれてから2か月ごろ、赤ちゃんは無く以外にも声を出せる事を知ります。
「あー」などの発声から始まり、6か月ごろからは「ばばばば」「だだだだ」などの喃語と呼ばれる言葉を話すようになります。
声を出す事に慣れていない、歯の無いあかちゃんにははっきりとした発音は難しく、言葉に濁点がつきがちです。
口を大きく開ける「ば」、口をすぼめる「ぶ」は比較的発声しやすく、「バブー」というしゃべり声に繋がります。
英語の表記から
赤ちゃんが話す言葉を英語で表記すると「babble」。
それが日本語になる過程で「バブー」や「バブバブ」になったと言われてる説です。
イクラちゃんから
国民的アニメ「サザエさん」のキャラクターであるイクラちゃん。
「バブー」「ハーイ」「チャーン」の3つの単語だけで意思表示をする1歳の子供です。
誰もが一度は見た事のあるサザエさんでのセリフが強く印象に残り、小さい子は「バブー」と話すものという印象になっているという説です。
まとめ
<コウノトリが赤ちゃんを運ぶ話の由来>
- アンゼルセン童話の「沼の王の娘」から
- ヨーロッパの言い伝え「赤ちゃんはコウノトリのくちばしで運ばれてくる」「コウノトリが家に住みつくと幸福が訪れる」
上記2点のモデルは当時のドイツやノルウェーの婚姻事情にありました。
夏に婚姻し、春に出産することの多かった時代。
渡り鳥として春にやってくるコウノトリは出産のイメージと強く結びつきました。
その結果言い伝えや童話が生まれたと言われています。
<赤ちゃんはなぜ「赤」がつくのか>
- 見た目の色:生まれたばかりの赤ちゃんは赤血球が多いので赤っぽい色をしているため
- 血液の象徴:血液や純粋さの象徴として赤が使われている
他にも太陽の赤、陰陽道の朱色、力いっぱい泣くため力んで顔が真っ赤になる為など様々な説があります。
<「バブー」と表記するのは何故なのか>
- 6か月~1歳ごろに実際にバブバブと言うため
- 英語表記の「babble」から
- サザエさんの「イクラちゃん」のイメージから
ヨーロッパでは赤ちゃんを運ぶ印象よりも「家に住みつくと幸運をもたらす」という言い伝えの方が強く信じられているようです。
コウノトリの100~110㎝と大きく、あまり日本の家屋に住みつくような印象はありませんね。
日本では「ツバメが家に巣をつくると幸せが訪れる」と言われているので、ヨーロッパにおけるコウノトリの扱いは日本のツバメのようなものかもしれません。