秋田名物の「きりたんぽ鍋」。
焼いたちくわ状ご飯(きりたんぽ)が入っており、冬の寒い日に食べると体も心もポカポカにしてくれます。
今回はきりたんぽや秋田の名物の由来について詳しくご紹介していきます。
目次
きりたんぽの語源とは!?
短穂説
きりたんぽの「きり」は切る事、「たんぽ」は短穂(布を巻いた槍)の事を指します。
ご飯を棒に巻き付けた形が似ており、鍋に入れる際に切ることから「きりたんぽ」という名前が付けらたという説があります。
ちなみに切らないものは「たんぽ」または「こめたんぽ」と言うそうです。
湯婆(たんぽ)説
湯婆とは筒状の容器にお湯を入れて体を温める暖房器具のことです。
筒状で穴があり、暖かいので確かにきりたんぽと似ていますね。
漢字ではどう書くの!?
きりたんぽを全て漢字で表記すると「切蒲英」。
短穂も湯婆も無縁のような漢字です。
さらに通常の変換では出てきません。
蒲公英(たんぽぽ)と漢字は似ていますが関係は無いそうです。
現在では全て漢字表記にすることはあまり無く、「切りたんぽ」「切たんぽ」という表記が主流の様です。
きりたんぽ鍋の由来について解説
きりたんぽ鍋は秋田の大館市(おおだてし)が発祥の地だと言われています。
その昔、雄大な自然を誇る大館市は猟師やきこりが大勢働いていました。
山で作業する際に山神様へのお供え物として木の枝にご飯を巻き付けたのが「たんぽ」の始まりです。
当時は食べる物が少ないため、お供えをしたあとは取り外して自分達のご飯にしていました。
木に巻き付けたご飯は乾燥しているため、おいしく食べられるように鍋に入れて柔らかくしました。
これが「きりたんぽ鍋」の由来と言われています。
現在でも大館市では「本場大館きりたんぽまつり」が10月に開催され、現在も愛され続けています。
秋田名物もろこしの由来とは!?
秋田の銘菓と言えば「もろこし」。
あずき粉を飾りや文字のついた枠に入れて固め、焼きを入れた干菓子です。
いまいちピンとこない方はお盆の際の落雁をイメージしてください。
「もろこし」という名前の由来は「諸越」からです。
かつて秋田の殿様、佐竹候が「もろもろの菓子に越えて風味良し」というお褒めの言葉を進呈したことからつけられました。
当時は砂糖などの甘いものは貴重で、高価なものでした。
砂糖をふんだんに使った甘いもろこしはとても価値があるもので、「どんなお菓子よりも美味しい」と佐竹候に大きな感動を与えたのでしょう。
もろこしが初めて作られたのは1705年(寛永2年)。
佐竹候が家臣を労うために米粉に砂糖を加えたお菓子を与えたことから生まれました。
最初は米粉を使用していましたが、杉山良作という人物が秋田の特産であるあずき粉を原料にして改良したことにより、現在のもろこしのスタイルとなったようです。
この杉山良作という人物は有名な和菓子のお店「杉山壽山堂」の初代であると言われています。
秋田の行事なまはげの由来とは!?
大晦日に鬼のお面をかぶった男たちが手に包丁を持ちと暴れ回る「なまはげ」。
秋田県の男鹿市、三種町、潟上市の伝統的な民族行事で、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
名前の由来
昔の人は囲炉裏で暖を取っていました。
囲炉裏に当たりすぎると低温火傷を起こし、赤いかさぶたができます。
それを秋田の方言で「モナミ」と呼びます。
モナミができることは囲炉裏の側でずっとだらけていたのと解釈され、戒めのためにモナミができるとはぎ取られていました。
その「モナミはぎ」が長い年月をかけて「なまはげ」と言葉が変化していったのが由来と言われています。
なまはげの由来
漢の武帝説
秋田県男鹿市にある赤神神社に伝わる言い伝えです。
5匹の鬼を連れて男鹿へやってきた漢(昔の中国)の武帝。
村人は鬼に「一晩で1000段の石段を完成させることができたら毎年娘を差し出す、失敗したら二度とこないでくれ」という申し出をします。
受けた鬼は石段をすごい速さで積上げていきます。
999段目となり、焦った村人は天邪鬼に鶏の鳴き声を真似させて夜明けと勘違いさせ、鬼たちを帰らせました。
鬼を騙したことで祟りを恐れた村人たちが年に1回、村の男たちに鬼の恰好をさせてごちそうを振る舞って祟りをなだめたという説です。
修験者説
男鹿市にある真山は修験道の霊場です。
山から下りてきた修験者の形相と厳しさが鬼のようであったことが起源となったという説です。
真山となまはげは関わりが深く、現在でも男鹿市では毎年2月に「なまはげ紫灯祭」が行われています。
異国人説
海沿いにある秋田県には異国人が漂流することがありました。
体格が大きく違う言語を話す異国人のことを鬼だと当時の村人が認識し、それが代々伝わってなまはげとなったという説です。
海外から伝わった説
海外から伝わった話が日本風に解釈された説です。
近いのはドイツの「クネヒトループレヒト」
クリスマスに悪い子の所にやってくる黒いサンタクロースです。
藁で身を覆った姿をしており、手には叩くための棒や鞭を持ち、とても悪い子は袋にいれて連れ去ってしまうというものです。
なはまげに似ていると思いませんか?
時期も同じ12月と近いものを感じます。
持ち物の意味
なまはげは包丁と桶を持っています。
この物騒なもちものはモナミを剥がすためのアイテムなのだそうです。
モナミと同時に厄災も払ってくれるため、家主は正装をして出迎え、酒などを振る舞うのです。
行動の意味やご利益
- 大きな音を立ててドアを叩く
悪いものを払い落とすためです。
- 家に衣装の藁を落としてく
ケデと呼ばれる藁で無病息災のご利益があります。
田畑の実り、山の幸や海の幸の豊作、子供や嫁いできたお嫁さんへの祝福など。
なまはげの歴史は古く、200年ほど前から続いている伝統行事です。
しかし現在後継者不足によりなまはげも高齢化が進んでいます。
若い方に積極的になまはげになってもらって絶やさないでほしいものです。
まとめ
- きりたんぽ鍋の名前の由来
短穂説はご飯を棒に巻き付けた形が短穂(たんぽ)と似ているため「たんぽ」、「きり」は切る事。
鍋に入れる際に手ごろな大きさに切るため「きりたんぽ」という名前が付けられたという説です。
- きりたんぽ鍋の発祥の由来
昔は山で作業する際に山神様へのお供え物として木にご飯を巻き付けていました。
それを取り外して鍋に入れて食べたことが発祥と言われています。
- もろこしの由来
秋田の殿様である佐竹候の「もろもろの菓子に越えて風味良しという言葉」からつけられました。
1705年に家臣の功績を労うために作ったお菓子が由来とされています。
- なまはげの由来
怠け者を戒めるための「モナミはぎ」がなまって「なまはげ」となりました。
なまはげの正体には漢の武帝説、修験者説、異国人説など様々な説があります。
現在のきりたんぽ鍋に欠かせないのが比内地鶏。
もろこしの由来となった佐竹候にも献上されたと言われています。
名物の歴史を調べると意外な部分が繋がっていたりととても興味深いです。
是非きりたんぽと一緒に歴史や文化も味わってほしいものです。