日本には昔から、お正月を迎えると、朝におせちを食べる風習がありますよね。
物心ついたときから、そんな風習ですし、とくに理由なんて考えたこともない人も多いでしょう。
「お正月はおせちをたべるもの」という概念はいつから始まったのか。
どういった理由があるのか。
これは日本人として気になりますよね。
今回は、そんなおせちとお正月の関係について、掘り下げていこうと思います。
目次
おせち料理の歴史について
おせち料理はいつから始まった文化なのでしょうか。
歴史を紐解いていくと、弥生時代にまでさかのぼります。
とても昔ですよね。
それを裏付ける理由というのは、日本人がお米を食べ始めた時代というのにかかわりがあるんだそうです。
太古の人間は、まだ農業などを行うことを知りませんでしたよね。
森の獣を狩ったり、海や川の魚を捕まえたり、その場その場で食料を調達するスタイルでした。
ですが、徐々に人間の進化の途中過程、つまり弥生時代にさしかかる頃に、稲作などの農耕が始まりました。
この時代に、自然からの恵みに感謝をする、という今の日本にも通じている風習が生まれて、祭りや行事を経て、自然を生み出す神様へ、感謝をつたえるといった文化も生まれました。
日頃からの感謝だけではなく、なんらかの形で伝えるべきと考えるのは、日本人らしいですよね。
そして、その時代。
中国から、季節の変わり目を「節」とした暦の文化も伝わりました。
その節目ごとに感謝をおくるための料理を作っていたそうです。
この料理こそ「おせち料理」の原点なのだそうです。
この風習は、徐々に日本へ定着していきました。
時が経って奈良時代から平安時代にさしかかるころには、宮中行事に移りかわりました。
暦上での節目に、神様への祈願の儀式としてお供えをし、宴を開くことを「節会(せちえ)」と呼びたびたび開催していたようです。
特に平安時代の節会の中でも、元旦・1月7日(白馬 あおうま)・1月16日(踏歌 とうか)・5月5日(端午)・11月新嘗祭の最終日(豊明 とよのあかり)
が特に重要視されており、五節会とも呼ばれていたのです。
この節会のときに供されていた料理のことを「御節供(おせちく)」といい、今の「おせち」の語源となったといわれています。
ちなみにまだおせち料理の歴史は続きます。
現在の、元旦にのみ食べるおせち料理の始まりは江戸時代です。
平安時代のおせち料理は、まだ位の高い人たちの食べるものでした。
これが一般市民にも普及したのは江戸時代で、徳川幕府から五節会を正式な祝日として定められたことによります。
最初は、五節会全部を祝っていたようですが、そのうちにもっともおめでたい、年と年の切り替え点…つまり元旦こそ、特に大事な日であるとされ、お正月におせち料理をたべる、という文化が浸透していったのです。
つまり、元旦におせち料理を食べる文化の始まりは、江戸時代であると言えます。
お正月におせちを食べる由来や意味とは!?
おせち料理の歴史はおおかた理解できましたが、ではなぜお正月なのか、意味などはあるのでしょうか。
これも先ほどと同じで、江戸時代から徐々に、五回ある節目のなかで、もっともありがたく、また大事な一日として、元旦がふさわしいとされました。
これは一年のはじまりであることが理由として大きいですね。
そしてその元旦は、家族みんなで神様に感謝にながら一年の始まりを迎える…という意味があります。
おせち料理の決まりごととは!?
決まり事といえば、みなさんおせち料理を食べるときの「お箸」。
気を付けていますか。
市販でも売られていますが、おせち料理を食べる際には、「祝箸」を使いましょう。
祝箸は、両端が細くなっているのですが、これには意味があります。
- 一方は神様が召し上がる方。
- もう片方は私たち人が使う方。
となっていて、「神人共食」の意味があります。
また、お箸の素材は「柳」を使用するため、邪気を払うとされています。
お箸まで、洗練された文化ですね。
日本のこだわりや信仰をひしひしと感じます。
また、おせち料理をお重に詰めるのにも意味があります。
もともと神様への供物料理であったおせちは、節会前日までにお重につめておいて、当日にはひっそりと静かに食べる風習がありました。
神さまへの感謝をつたえる日にまで、あわただしく料理をするのは失礼だと、そう考えられてもいたようです。
ですからあらかじめ大晦日に料理を作っておいて、元旦には静かに食べてすませるとなったそうです。
おせち料理に詰める具材の意味や由来について
今日日デパートや通販でも購入可能なおせち料理。
案外、そっちの方が、本格的かもしれません。
なにかとおせち料理は作ろうと思うと、手間も時間もかかりますからね。
買ったり取り寄せたりする家庭もあるかと思います。
が、そんなおせち料理に入っている具材にも、意味があるってしていましたか?
お重に詰めるルールや、決まり事なども、それぞれ存在しているんです。
一の重の具材
「祝い肴・口取り」
お重に重ねたとき、一番上の来る「一の重」。
ここには祝い事にふさわしい具材を詰めます。
- 数の子(子孫繁栄)
- 田作り(五穀豊穣)
- 黒豆(勤勉・健康)
- たたきごぼう(繁栄)
- 紅白かまぼこ(魔除けと清浄)
- 伊達巻(知識の充実)
- 昆布巻き(縁起)
- 栗きんとん(縁起・豊かさ)
- ちょろぎ(長寿)
錦卵などが詰められます。
二の重の具材
「焼き物」
二番目のお重には、縁起のいい海の幸を中心に焼き物を詰めます。
- ぶり(出世)
- 鯛(めでたい・慶事)
- 海老(長寿)
が代表的ですね。
見た目も、鯛や海老が入っているだけで、おいしそうですし子供は喜びますね。
三の重の具材
「煮物」
ここには山の幸を中心に詰めます。
これには、家族円満の願いが込められています。
- れんこん(将来の見通しをよくする)
- 里芋(子孫繁栄)
- 八つ頭(出世・子孫繁栄)
- くわい(めでたい・子孫繁栄)
ごぼう…など。
どの食材も子孫繁栄を願った意味をもつものが多いですね。
与の重の具材
「酢の物・和え物」
ここで「与?四じゃないの?」と疑問に思う方がいるかもしれないので説明しますね。
「四」とは、昔から忌み数字とされています。
お正月のおめでたい時に、そんな忌み数字をつかった料理を食べては、一年の始まりにはふさわしくないということで、「与」という字を使ってるのだそうです。
このお重には、酢の物などを入れます。
- 紅白なます(めでたい・祝いの水引)
- 菊花かぶ
- 小肌栗漬け(五穀豊穣)
といった願いが込められています。
五の重の具材
「空または好きなもの」
空っぽでいいの?と思うかもしれませんが、ここはあえて何も詰めずに、「神様から授かった福」を詰めるために空けておくという一説もあるようです。
それか、純粋に家族の好きな食べ物を詰めてたのしく食べる。
どちらにしても、幸せを感じられることに変わりはないですね。
まとめ
いかがでしたか?
今日おせちはコンビニ予約やネット通販でも購入できたりと、作る手間がいらない時代になってきました。
自分で作ったりするのが面倒だなと思う方は、そういったものを利用してもいいですよね。
もっと身近に、もっと気軽におせちを食べることができる工夫がなされていますし、お正月にはおせちを食べて、新年を迎えることがやはり理想ですね。