今回はてんとう虫をピックアップしました。
てんとう虫は害虫などを食べる種類がいるので、生物農薬として利用する研究が進められています。
しかし害虫からの防除は成功しましたが、翅がある昆虫のてんとう虫はすぐにどこかに飛んで行ってしまうためなかなか研究や実験がすすみません。
そしててんとう虫は現実的な問題以外にも、ヨーロッパなどでは幸せを運んでくる虫だと言われています。
てんとう虫はなぜこの名前が付いたのか、また英語ではどのように呼ばれているのかなどを調べてみました。
てんとう虫の名前の由来とは!?
てんとう虫はコウチュウ目テントウムシ科に分類される昆虫の総称で、成虫でも体の大きさが1cm程度の小型の甲虫です。
半球型の体の形で、赤・黄・橙色など鮮やかなカラーで彩られています。
そしてその体には黒い水玉模様があり、昆虫のなかでもかわいいイメージが定着しています。
人に捕まえられそうになるなど物理的な刺激がてんとう虫に与えられると亡くなったふりをしますが、この時同時に関節部分から異臭が強い黄色い液体を出して外敵を撃退しようとします。
てんとう虫は卵から産まれ、幼虫→蛹→成虫へと育成過程で形態を変える完全変態で成長します。
したがって幼虫には翅は無く突起やトゲがあり、成虫の姿からは想像できません。
そして蛹に成長してからも短い翅が付き模様も出てきますが、体が細長くまだ成虫の姿には似つかない状態です。
成虫になると蛹の時よりも丸く可愛らしい姿になり、歩いている時に時々転んで仰向けになります。
この姿からてんとう虫を「転倒虫」と表記してこれが名前の由来だと説明している資料がありますが、これは違います。
この他にも「模様の黒い点が10個あるから」との説もありますが、これも違います。
てんとう虫は飛び立つときにトコトコと木の枝の先まで歩いて登り、ここから飛んでいきます。
この習性が太陽に向かって飛んで行くように見え天への道を教えてくれる姿のようなので、太陽神の天道からとられて「天道虫」という和名が付けられました。
てんとう虫を英語で書くと?由来は!?
てんとう虫の和名は天への道を教えてくれる、「天道虫」が由来です。
ではてんとう虫は英語ではなんと呼ぶのかご存知でしょうか。
てんとう虫は英語で「ladybug」、又は「ladybird」とも言います。
ヨーロッパでもてんとう虫は幸運を呼ぶとの言い伝えがあり、てんとう虫が体にとまると幸運が訪れると言われています。
昔ヨーロッパの農民が農作物の害虫被害にあいとても困った時に聖母マリアに祈りを捧げたら、どこからかてんとう虫がたくさん飛んできて害虫を食べて駆除してくれたと言う話があります。
そしててんとう虫の体の色は赤ですが、聖母マリアも赤い服を身に着けています。
このような事から英語でのてんとう虫を「ladybug」と呼びます。
聖母マリアは「Our Lady(我らが貴婦人)」と呼ぶ事が多く、てんとう虫の「lady」は、マリア様が由来なのです。
またてんとう虫の種類の一つ「ナナホシテントウ」は、背中に黒い7つの斑点があります。
これが聖母マリアの「七つの悲しみ」と関連しているとも考えられ、てんとう虫の英語の名前の由来は聖母マリアだと言う説が信じられています。
てんとう虫の主な種類をご紹介!
てんとう虫は、国内だけでも180種類以上存在している事が確認されています。
てんとう虫は食性で分けると、肉食・草食・菌食性にわけられます。
肉食てんとう虫
- ナナホシテントウ:7つの黒い斑点があり、アブラムシやハダニを食べる。
- ナミテントウ:アジアに多いてんとう虫でアブラムシを食べる。
- ダンダラテントウ:ナミテントウよりやや小型。アブラムシを食べる。
- カメノコテントウ:亀の甲羅のような模様があり、クルミハムシの幼虫を食べる。
- ヒメカメノコテントウ:アブラムシを食べる。
- ジュサンホシテントウ:体がハムシのように縦に長い。アブラムシを食べる。
- ウンモンテントウ:大型のてんとう虫でオレンジ色の翅をもち、アブラムシを食べる。
- オオテントウ:アブラムシを食べ、生息数が少ない。
- ベダリアテントウ:オーストラリアから持ち込まれた外来種で、ワタフキカイガラムシを食べる。
- アカホシテントウ:梅の木によく付いていて、カイガラムシを食べる。
- ベニヘリテントウ:カイガラムシを食べる。
- アミダテントウ:アオバハゴロモを食べる。
草食てんとう虫
- ニジュウヤホシテントウ:北海道以南に分布し、ナスやジャガイモの葉を食べる。
- オオニジュウヤホシテントウ:寒冷地に生息し、集団でナスやジャガイモの葉を食べる。
- ヤマトアザミテントウ
- エゾアザミテントウ
- ルイヨウマダラテントウ:キク科・メギ科植物の葉を食べ、関東近郊では害虫科している。
- ジュウニマダラテントウ:沖縄地方で生息しウリ科植物の葉を食べる。
- ミナミマダラテントウ:八重山諸島で生息する。
- トホシテントウ:ウリ科植物の葉を食べる。
- ツシママダラテントウ:対馬で生息しアカネ科植物の葉を食べる。
菌食性てんとう虫
- キイロテントウ:翅が黄色一色で、うどんこ病菌を食べる。
- シロホシテントウ:白っぽい斑点模様があり、うどんこ病菌を食べる。
- クモガタテントウ:アメリカなどからの帰化種で、うどんこ病菌などを食べる。
まとめ
いかがでしたか?
てんとう虫は太陽に向かって飛んでいくことから、「天道虫」と和名が名づけられました。
そして英語でも「ladybird」と呼ばれ、これは聖母マリアが由来です。
種類豊富なてんとう虫は肉食・草食・菌食の3タイプに分けられて、害虫などを食べる肉食や農作物の被害の原因になるうどんこ病菌を食べるので、それらの駆除に役立つと喜ばれています。
しかし草食のてんとう虫は一生懸命育てた農作物の葉を捕食して傷めるので、害虫として扱われることがあります。
ほとんどの種類が1cm未満の小さい昆虫できれいな模様の種類も多く、嫌がられることが多い虫の中では珍しく可愛いイメージで人気のある昆虫です。
歌のモデルになる事や車のニックネームにもなり、昔から日本では親しまれています。