夏の風物詩の一つであるかき氷。
花火やお祭りなどのイベントをはじめ、最近では専門店なども増えてきて様々なシロップを楽しめますし、インパクトのある見た目のものも増えてきましたよね。
韓国など海外のかき氷も大人気で、今やスイーツの一ジャンルとしての存在感を不動のものにしています。
ところでこの『かき氷』とは、どこから名づけられたものかご存知でしょうか?
夏季の氷だからかき氷?
氷を掻き砕いたものだから?
色々想像はできますが、実際には何が正解なのか知りたいですよね。
ここでは、私たちの夏に欠かせないかき氷にまつわる色々な話題をご紹介します。
目次
かき氷の名前の由来とは!?
かき氷の日本においての歴史は古く、平安時代の代表的な女流作家・歌人である清少納言の随筆『枕草子』にも「削り氷にあまずら入れて、あたらしきかなまりに入れたる」という文章がみられます。
これは「削った氷にあまい汁をかけて真新しい金属製のお椀に入れる」という意味であり、このことから平安時代にはかき氷のようなものが存在していたことがわかりますよね。
冷蔵庫すらないこの時代、氷は非常に貴重なものであることは間違いなく、裕福な階級で楽しまれていたと考えられます。
当時は、氷室という氷を貯蔵する場所が作られ、冬の間に凍結した池や川などから天然の氷を採取して、氷室で夏まで保存していたそうです。
氷室の形態はさまざまで、洞窟や地面に掘った穴に小屋を建てるなど、その地域や地形の特色にあわせて様々なものがあったといわれます。
当時の氷の食べ方は、氷を現在のように薄く削るのではなく、欠けた氷を食べていたということで、『欠き氷』という書き方をすることになったというのが一般的な見解なのだそうです。
これは実際に広辞苑などにも『欠氷』としての表記がありますので間違いないでしょう。
ひらがなの『かき氷』になったのは、『欠』の文字があまり良い意味で使われていないことからともいわれます。
かき氷を売っている店でよく見る氷旗の由来とは!?
夏になると、かき氷を提供する様々なお店や祭りの出店などあちこちに『氷』と書かれた旗が見られますよね。
これを目にすると夏の到来を感じる方も多いのではないでしょうか?
この旗は氷旗とよばれるもので、白地に赤い文字で『氷』の文字が大きく書かれ、青い波模様や千鳥の模様が入っているものが一般的です。
この旗の由来はどこにあるのでしょうか。
氷が貴重な古の時代には特権階級の食べ物であったかき氷が、明治時代に入りようやく商売にも取り入れられてくるのですが、儲け重視で粗悪な氷を使用した商売をするものもあらわれてきたそうです。
そこで政府はそれを防ぐため、基準となる検査を受けて合格した販売者に氷の産地の表示をすることを義務付けました。
表示の内容は以下のとおりでした。
- 『官許』・・・政府に認められているという意味
- 『氷』・・・氷を販売していることを表す
- 『産地』・・・氷がとれた地名を書く
これらの情報を染め抜いた旗や看板などを掲げて、氷の販売を行っていたのが氷旗の原型となったといわれます。
また、氷の文字とともに描かれていることの多い波と千鳥の図案ですが、これには何か意味があるのでしょうか?
この波と千鳥は夏の着物や浴衣などにもよく用いられるもので、涼しげなイメージが氷のイメージにも合うために使われたのではないかとされています。
7月25日はかき氷の日!
7月25日がかき氷の日であることをご存知でしょうか?
この日には2つの由来があるようですのでご紹介しましょう。
語呂合わせ
『な⑦+つ②+ご⑤おり』の語呂合わせからきている説です。
夏氷はかき氷の別名で、俳句では夏の季語として使われているということなのですね。
確かにかき氷より夏氷の方が風情を感じるような気がしますよね。
最高気温の記録から
1933年7月25日に、山形県で当時の日本最高気温である40.8℃が観測されたそうです。
最高気温を記録した記念と、こんな暑い日にはかき氷がぴったりだということで、日本かき氷協会によって制定されたのです。
近年では夏の温度が上昇し、このくらいの気温が通常に観測されていますが、当時の東北地方では特に珍しいことだったのかもしれませんね。
ちなみにこれは、湿った空気が山を越えて乾いた暖かい風となって吹き降ろすフェーン現象が原因だったということです。
かき氷の「ブルーハワイ」って何の味!?由来とは?
かき氷の楽しみの一つは、シロップのバリエーションの豊富さにありますよね。
日本で初めてかき氷店が開店したのは、1869年(明治2年)の横浜だったそうですが、私たちになじみのあるイチゴやレモン味などのシロップが登場したのは戦後になってからなのだそうです。
これらは現在でも小さなお子さんにも根強い人気の定番のフレーバーですが、それに加え、青色をしたブルーハワイのかき氷も安定した人気があるようです。
確かに見た目も爽やかな色合いで見た目から涼しくなりそうなイメージですし、大人の方にも好まれそうですよね。
このブルーハワイの味については、色々な意見にわかれるようです。
多いものは、柑橘系、ラムネ、サイダー、ピーチなどのイメージですが、これは製造するメーカーによっても若干の違いがありますし、味わう人の感覚によって色々な味として楽しめるということなのかもしれませんね。
いずれにしても、ついつい注文してしまう不思議な魅力を持つかき氷であることには間違いないようです。
このブルーハワイは、どうしてかき氷になったのでしょうか?
ブルーハワイというカクテルがありますが、これはブルーキュラソーという青色のリキュールを使用して作られます。
このリキュールはオレンジの果皮を抽出して色を付けたものであるため、柑橘系の味がするのですが、同じ色のかき氷であるブルーハワイは、おそらくこのカクテルをイメージして作られたのではないかといわれています。
もちろんかき氷のブルーハワイシロップにはアルコール分は含まれておらず、プレーンなシロップに青色の着色料や柑橘系の香料などを加えたものになります。
このかき氷を食べた時に、着色料の影響で舌が青くなるのも子供たちにとっては楽しみのひとつかもしれませんね。
まとめ
今や年中楽しむことができるようになったかき氷、庶民的なシンプルなものから高級スイーツのような豪華さを感じるものまで様々です。
かき氷の歴史が、冷蔵冷凍技術のない平安時代にさかのぼることには驚かされますが、いつの時代にも暑い季節には冷たい食べ物で涼をとりたいという共通の思いがあったのですね。
当時は上流社会の食べ物でしたが、明治時代には商売として扱われるようになったということです。
その当時に商売を許可された目印である氷旗が、今でも変わらず私たちの生活に根差しているのも興味深いですね。
かき氷に何とも言えない懐かしさを感じるのは、この氷旗のイメージもあるのかもしれません。
暑い夏に一瞬でも涼しい気分になれるかき氷、これからも季節を感じる文化として楽しみたいですね。