青森ねぶた祭りは仙台の七夕祭り、秋田の竿燈(かんとう)祭りと共に、東北三大祭りのひとつといわれるほど有名です。
1980年に国の重要無形民俗文化財に指定された、貴重な文化遺産でもあります。
青森ねぶた祭りは毎年200万人以上の観光客がやって来るほど、大変華やかです。
このねぶたの特徴のひとつは、ただ見物をするだけでなく、その気になったらすべての人が祭りへ参加するチャンスがあることです。
ここでは、青森ねぶた祭りの内容と由来を解説すると共に、飛び入り参加をすることが可能な「ハネト」について、その由来と共に参加の方法を説明します。
ねぶた祭りってどんな祭り!?
ねぶた祭りは、「ねぶた」と呼ばれる明かりをともした巨大な灯籠(とうろう)を山車(だし)に乗せて町中を練り歩く、とても華やかな夏祭りです。
青森県はねぶたが大変盛んで、青森ねぶた祭りの他にも県内40以上の場所で、同じような「ねぶた」が行われています。
青森ねぶた祭りは、毎年8月2日から8月7日までの6日間の間、開かれます。
8月2日と3日の夜は、子どもねぶた約15台と大型ねぶた約15台、4日から6日までの夜は、大型ねぶた約20台が運行します。
祭りで運行するねぶたはコンテストの対象になっていて、6日には「ねぶた大賞」などの各賞が発表されます。
最終日の7日の昼には大型ねぶた約20台が運行し、夜はコンテストで受賞したねぶた7台が青森港を海上運行して終わりを迎えます。
青森ねぶた祭りの「ねぶた」は、幅9メートル・奥行き7メートル・高さ5メートル(高さ約2メートルの台車を含む)の内部に明かりをともした巨大な張りぼて人形です。
この人形ねぶた、あまりにも巨大なので数十人がかりで引っ張る必要があります。
ねぶたの人形のテーマは「水滸伝(すいこでん)」や「三国志」といった中国の歴史小説や、日本の歌舞伎・神話からとられることが多いです。
ねぶたをのせた山車は「ハネト(跳人)」と呼ばれる群衆が取り囲まれながら進みます。
ハネトたちは、お囃子(はやし)にのせて飛び跳ねながら、青森の目抜き通りを歩き回ります。
ねぶた祭りの由来とは!?
青森ねぶた祭りの由来ははっきりしません。
七夕祭りの灯籠流しがおそらくルーツであろうと考えられます。
奈良時代に中国からやって来た「七夕まつり」が、それ以前から津軽で伝えられていたさまざまな風習や、虫送り(農耕のじゃまになる害虫を駆逐するための呪術)・人形送り(わら人形にさまざまな災厄をつけて、川や村境まで送り出す呪術)などの行事と結びつきました。
紙と竹とローソクが普及するとわら人形が灯籠に代わって「灯籠流し」がはじまります。
そして詳しい理由はわかりませんが、この「灯籠」が大型化してねぶたになって、今日のねぶた祭りにつながって行ったのでしょう。
「灯籠流し」はお盆の行事だったのでは?と考える人も多いでしょう。
しかし旧暦の7月7日は現在の8月7日の頃に相当します。
旧暦で考えると七夕とお盆は7月の互いに近い時期に行われる行事であって、両者には密接な関係があると考えられているのです。
灯篭流しとねぶたとの間の関係性は、現在の青森ねぶた祭りで最終日(8月7日)の夜に行われる、ねぶたの海上運行に、姿をとどめていると考えられています。
ねぶた祭りの掛け声の由来や意味について
青森ねぶた祭りの特色のひとつはハネト(超人)と呼ばれる群衆です。
1台のねぶたを50人から200人のハネトが取り囲んで、独特の跳ねるような激しい踊りを踊り続けます。
このハネト達は踊るときに「ラッセ、ラッセ、ラッセーラー」という、掛け声をかけ続けます。
祭りがこのリズミカルな声であふれているのを聞くと、しばらくの間、耳の中から声が離れなくなると同時に「この意味不明な響きには、どういう意味があるのだろう?」と、疑問に感じるようになります。
「ラッセ、ラッセ、ラッセーラー」という掛け声の意味には、いくつかの説があります。
その中で最も確からしい、と思われるのは、「いっぱい出せ」という意味がなまって「イッペラッセ」となり、さらに「ラッセ」だけが残ったという説です。
ねぶた祭りが、現在のように大型化して決まったルートで運行するようになる前は、ねぶたは大通りではなく、家々や辻々を流していたわけですが、その頃は訪れた家の前で、運行していた人たちが、家の人たちに向かってろうそくや歌詞や振る舞い酒などをねだるため「出せ出せ、いっぺぇ出せ」と節を付けて掛け声をかけていたのが、長い年月の間に「ラッセ、ラッセ、ラッセーラー」という調子の良い掛け声に変化していったといわれています。
ねぶた祭りで着用するハネト衣装とは!?
「ハネト」はルールさえ守れば、原則参加自由です。
(ただし団体によっては飛び入り不可の場合もあるかもしれません。飛び入り参加するときは、必ず団体のリーダーにひと声かけて許可をもらうようにしましょう。)
そのルールとは
- 「運営者側の指示に必ず従うこと」
- 「好き勝手に鳴り物を持ち込まないこと」
- 「正式なハネト用の衣装を必ず身につけること」
です。
最初のふたつはどんなお祭りでも当たり前のルールですから、「ハネトの衣装」が、青森ねぶた祭りで大きな意味を持っていることがわかります。
そのハネト用の衣装のルールは、次のようなものです。
- 「浴衣(白地のもの)を着る」
- 「浴衣の下にはピンクや青のおこしをつける」
- 「浴衣は膝までたくし上げる」
- 「肩には赤やピンクの襷(たすき)をかける」
- 「腰にはシゴキ(扱帯 (しごきおび)のこと。1枚の布地をそのまましごいて使う)を巻きつける」
- 「同じように腰にはガガシコ(ブリキ製の器で水やお酒を飲むためのもの)をつける」
- 「足元は白足袋。それに草履(ぞうり)をはく」
地元に行くと、ハネトの衣装はデパートで売っています。
レンタルで入手することも可能です。
衣装をレンタルするだけでなく、着付けもしてくれるお店もあります。
あちらこちらで無理して事前に衣装を揃えたり、どうやって着たら格好良いかと、心配する必要はありません。
まとめ
青森ねぶた祭りについて、その概要や祭りの由来を、誰でも参加可能な「ハネト」についてと共にまとめました。
夏の東北まで旅行してねぶた祭りを見物しているのなら、思い切ってハネトに飛び入り参加するのも、祭りの良い思い出の作り方です。
ハネトの踊りは決してむずかしくはありません。
翌日は足が棒のようになるのは、ほぼ確実ですが。